2013年9月3日火曜日

今年のマッターホルンヘルンリ稜

2013年9月1日

あの猛暑はなんだったの?というくらい先週の大雨を境に、朝晩涼しくなり、昨夜、今夜と虫の音が聞こえて早くも秋の訪れを感じる今日ですが、去年、今年と2年立て続けにマッターホルンヘルンリ稜に登り、その違いなんぞを報告しておきたいと思います。

雪の状態
去年より多かった。
ソルベイ小屋に行くまでにもところどころ(アイゼンは不要)残雪あり。
ショルダーもそこそこついていた。去年はショルダーを越えて、北壁側に入るところでアイゼンを装着したが今年はショルダーの下部で装着。
頂上直下の雪原に立っている聖者の像は、股下まで埋まっていた。この地帯は雪があった方が登り、下りやすいと思った。インターネットで検索した雪がない状態の写真を見る限り、雪がないとガレ場なのであの高度感で体力的にもしんどい状態でガレ場を下るとなると怖そうだなぁ、と思った。

2012年8月

2013年8月(今年)

















登攀道具
  • 50mロープ1本(去年の自分の記録には50mロープではやや短い。60mあれば確実に安心、と書いてあったが今年も50mロープ1本で行った。なんとか間に合った。)
  • アイゼン12本爪
  • 登山靴 私は縦走用のシリオ社の革重登山靴で行きました。ハズは冬期用靴のボリエール社の靴
  • ギア類(一人) 確保器+環付ビナ、環付ビナ2枚、デイジーまたはパス、スリング2本、カラビナ4枚、捨て縄1本=未使用)
  • 上下服装 日本の春山の服装。ファイントラック社のフラッドラッシュスキンメシュ(上のみ)、3シーズン用の下着上下、モンベル社の少し厚めの長袖Tシャツ、冬の低山から春山高山用の厚めのズボン。寒かったら雨具を着た。下りは暑かった。
  • スパッツ マッターホルンには持って行かず
  • ピッケル バイル。ショルダーを越えて北壁側に入ったところで1〜2回使用のみ。
  • 指先を切った革の手袋 全て隠れた手袋やと岩の感じが分かりにくい。素手だと手の皮がざらざらになる。去年の記録にこれ必須、と書いてあったのに持って行くのを忘れてしまった。ハズには言ったのに。ガイド登山のクライアントは皆、指先まで覆った革の手袋をつけていた。インナーがぼろぼろになるのは少々もったいないので素手で行き、ショルダーから上はインナー手袋とオーバー手袋を付けた。ハズはそのまま登ってたが時々手が冷たい、と言っていた。
  • 飲み物 水。高度が高くとにかく空気が乾燥しているのでノドが乾く。キャメルバックを持って行く時は、飲み口をしっかりザックと固定して素早く飲めるようにしておくのがポイントかな。
  • 行動食 日本から持って行った行動食は、定番の柿の種、小袋に入ったおかき、バランスアップ、スニッカーズ、塩味キャラメル、のど飴、など。この他は現地のスーパーで調達。スニッカーズは現地でも入手可能と去年、現地で購入したらものすごく甘くて山の上で食べるとノドがべたついて逆効果だったので今年は日本から持って行った。
登るときも下るときも、逆方向の行動をする他パーティと支点の共同使用があるわけですが、ガイドがするようにロープを直接かけてしまうと、後から来たパーティーが自分のロープの上、そのまた上へとセットしてしまうのですね。こうなると自分のロープを抜くことができないわけです。ここで考えたのですが、手間はかかりますがスリングを1本支点に回し、カラビナを1枚つけてそれにロープをセットすると回収がしやすいかなと。少々手間はかかりますが、上に重ねられたロープ、3パーティの分がなくなるまで待ってる時間なんてありません。それに1パーティが抜けても次から次へと他パーティがやってきては使うわけですから待っていては延々そこから動くことができないので、この方法がいいのではないかと思った次第です。

下りに(ヘルンリ小屋までに)10時間も要したわけですが、やはり懸垂下降というのは下りるという行為自体は早いけれどもロープを回収し、次の懸垂ピッチのためにロープをセットする、というところで時間がかかったなぁ。ガイドもそうですが、他の現地の人達はすったかすったかクライムダウン。ひぇ〜っていうようなところでもクライムダウン。しかも前向き。どうやって早く登って早く下りるか...。色々と考えさせられました。