2021年7月4日日曜日

昔の山行話 中房から横尾まで単独行その2

山行日 2008年5月31日〜6月2日

さて、翌日。朝起きて冬期小屋の外に出てみると...この天気。言うことなしです。
が、やはり少々びびっていた私は、東鎌尾根へは向かわずエスケープルートである常念岳へ向かったのでした。

この景色を独り占めできたのはラッキーでした


大天井ヒュッテから貧乏沢へのトラバース道がうっすら見えています。稜線づたいに西岳ヒュッテを経由して、槍に続く東鎌尾根も見えていますが、1人で行く自信がなかったなぁ。

この後も誰1人と会うことなく1人東大天井、横通岳を通過。常念小屋が見える場所までやってきました。

常念小屋でテントを張るにはまだ早い時間。小屋に入っておじさんに蝶ヶ岳方面への道の状況を教えてもらいましたが、まぁ、雪はあるよ、くらいの話だったか。テントを張れる場所はいくつかあるよ、と教えてもらい出発しました。長い長い常念岳への登りを経て下りに入ったところで、反対方向から登ってきた男性二人組と会いました。

2人とも高そうなカメラを首から下げており、おそらく前を歩く初老の方が師匠で後ろの方がお弟子さん、といった感じでした。ずっと1人だった私は人に会えたのが嬉しくなって、そしてこの師匠が話しかけてくださったもんだから、長い長い間お話をしてしまいました。ふと気づくと「いい加減に話終わって」という目をしたお弟子さん。すいませんでした。でも、師匠もお話好きのようで盛り上がったのだから仕方ない。

お二人と別れた後は蝶ヶ岳方面目指しますが、時々夏道が分からなくなり薮に突っ込んで引き返したり、を数回繰り返しました。

いい時間になったので、ちょうど窪地になったようなところでテントを張ることに。

この時、2〜3人用のテントを持ってきており、1人で使うには広すぎて&おそらく放射冷却が効いたのかこの日の夜は寒かった。

この日のコースタイム
午前7時半ごろ 大天荘冬期小屋→ 9時20分 東大天井岳→ 10時20分 横通岳→ 
11時ごろ 常念小屋→ 午後1時 常念岳→ 5時 最低鞍部あたり

さてさて3日目。この日は朝から高曇りの空模様。ちょっと疲れが出てきていたけど、横尾を目指してがんばります。蝶槍までの登りと下りが結構しんどかったのを覚えている。やっとこさ蝶槍に着いて、目の前に広がる槍〜穂高を見て嬉しかったのか、満面の笑みで写真を自撮りしていた。

蝶槍の常念寄りの場所で撮影した槍穂

蝶槍に到着
横尾の分岐からは一気に下る。目印となる赤丸印がひっきりになしに木に書かれていたので心配していた道迷いはなかった。

横尾に到着すると父ちゃんはまだ来てなかったので、靴と靴下を脱いで足を解放。

ほどなくして父ちゃんと一緒に参加されていたご夫妻が到着。ここでも久しぶりに人に会えたのがうれしくて、上高地までひっきりなしにしゃべりっぱなしだった。疲れていたところに追い討ちをかけてしまった。今になって悪いことをしたなぁ、と思う。

この日のコースタイム
午前7時半 テント場→ 8時50分 蝶槍→ 9時10分 横尾分岐→ 10時55分 槍見台→
11時15分 横尾

2021年7月1日木曜日

昔の山行話 中房温泉から横尾まで初めての単独行

 2008年5月31日〜6月2日

いよいよ7月。梅雨本番と言われていますが、6月はなんかほとんど雨降らなかったような...。こんなんだったらもっと山中泊山行考えときゃよかった...。

さて、ということでいつもの昔話です。今回は初めての長期(といっても2泊3日ですが)の単独行初挑戦の話です。

この山行、元々は大天井から東鎌尾根を通って槍ヶ岳へ行き、肩の小屋で父ちゃんと合流する、という計画でした。ちなみに父ちゃんは、当時南岳小屋の支配人だったSさんのガイドでこの時期の南岳小屋偵察兼ガイドツアーというものに参加しており、普通に上高地から入山して、肩の小屋で私と合流、一緒に下山して父ちゃんの車で帰宅、という計画でした。

でしたので、私は生まれて初めて汽車で、いや電車で穂高まで。関西を朝いち出発、名古屋経由、松本まで。そっから山屋なら行ってみたい穂高駅まで。そっからバスで中房温泉へ。バスに乗る前に駅前にあった「バックカントリー穂高」というお店があったので入ってみた。たしか、念のためにガス缶を1つ購入したかな。

中房に着いたら雨でしたわ〜。前夜テント泊を諦め中房温泉へ投宿。飛び込みだったので、素泊まりと思われた最初は嫌な顔をされたけれど食事付きでと言うと、ころっと笑顔になったおっちゃん。まぁ、気持ちは分かる。しかし、1人で泊まる温泉宿ほど面白くないものはない。取材とか温泉マニアとかだったらともかく、風情のある部屋で1人で泊まるのはなんともうら寂しい気持ちになった。

翌朝も雨降り。ここまで来たので出発する。雨がひどくなる。

第3ベンチでこんな感じ。1人とぼとぼ歩き続ける。

合戦小屋に到着。ここら辺から雪が出てきた。小屋の人と話をすると「この天気で登るのは、山岳会のトレーニングくらいかなぁ。」と言っていた。たしかに。普通なら来んよな。

この後もとぼとぼ雨の中を歩き続け燕山荘に到着。中に入ってホットココアを注文。小屋の女性従業員とお話をする。どこかで「行くんですか?やめといた方がいいと思いますよ、この天気」というような言葉をかけてほしいなぁ、と思いつつゆっくりココアを飲む。半時間ほど休憩していたけどそんな言葉は出て来ず。行くしかないよなぁ。父ちゃんも待ってるし。

再び出発。
途中、積雪で夏道が消えている箇所は尾根通しに進んだ。喜作レリーフに到着。梯子を上がって右方面に進む。大天井ヒュッテと大天荘への分岐。雪はすでになかったけれど、この先ガスっていてよく見えない。雪があっては難儀なので、ここから尾根通しに頂上へ向かう。

雨の中大天井岳到着。ここから方向がよく分からない。登ってきた方向と反対側に下りてみる。途中、一瞬、ガスが晴れた時目の前にぶわっと広がったニノ俣谷に吸い込まれそうな錯覚を起こし、一瞬めまいを覚える。
自分がどの辺りにいるか正確に分からないので、左方向へ進み(東鎌尾根に進むなら右方向へ行くべき)ハイマツ帯が出てきたのでテントを張ることにした。雪の上で少し傾斜があったので、テントが滑ったらどうしよう?と心配しながら張り綱をハイマツにしっかりくくりつけた。

1時間ほど経ってテントから頭を出すと、雨が止みガスが晴れていた。すぐ目の前に大天荘が見えた。
ありゃ!あんな近くに!小さい小屋の屋根には「冬期小屋」と書かれていたので、これは移動するほかない、と撤収して冬期小屋へ移動、無事中に入る。風も吹かず雨にも降られず、快適。もちろん独り占め状態。利用料の1000円は後日、事務所に送付した。
ややっ!小屋が目の前に!

この日のコースタイム
午前5時45分 中房登山口→ 8時50分 合戦小屋→ (10時半ごろ?燕山荘 長い休憩)→
11時35分 大下り→ 午後1時25分 喜作レリーフ→ 2時40分 大天井岳→
5時半 冬期小屋に移動