2023年4月30日日曜日

大峯奥駈道 その他

新年度が始まったこの時期に約1週間も山に入ってることがなかったので、この時期の山の様子がとても新鮮だったので、数枚写真をアップしたいと思います。

第二十三靡「乾光門」を過ぎた場所にコバイケソウの群生。これには驚いた。コバイケソウってもっと標高が高いところに自生すると思っていたので。この先にもところどころ、群生が。一斉に咲いたらあの独特のくさ〜い匂いがするんだろうなぁ。


「天狗の稽古場」と言われるところ。とても広い台地の場所でテント泊するにはいい場所だけど、水場がない...。まるで秋の風景。


釈迦ヶ岳東面。岩があっちこっちにそびえたっていた。へぇこんなんだったんだ。山地図(昭文社の)を見ると、それぞれ名前がついてる。それぞれによぉ名前をつけたなぁ。


「孔雀覗」の手前の道には残雪が。見ると、道の両側に雪面の端っこがひっかかって保持されている=乗っかると50cmくらいどかん!と落ちる薄い残雪。

この場所以外にも、八経ヶ岳から弥山へ続く道と弥山から行者還へ向かう道にも残雪が思いのほかあった=多分、この時期のこの山域に来たのは初めてなので「思いのほか」と言ってるだけ。アイゼンなどは不要。


「鳥の水」を過ぎて楊枝ヶ宿へ向かう時。この辺りもまだ枯れ木状態で、晩秋の雰囲気。それに加えて夕暮れが迫っているのでうら寂しさに拍車がかかる。


楊枝ヶ宿を出てすぐ「舟の垰」辺りかな。朽ち果てた倒木、ガスがかかって山深いところにいる感じ満載。ちょっと日本離れした雰囲気もある。

さて、スマホのアプリで、この5日間で歩いた距離と消費カロリーが記録されてました。
1日目 31.3km、44,871歩、2,785kcal
2日目 29.57km、42923歩、2,360kcal
3日目 29.80km、42,720歩、2,367kcal
4日目 19.4km、29,186歩、1,207kcal
5日目 23.31km、36,853歩、1,287kcal
合計約1万キロカロリー=脂肪1kg程度のカロリーを消化したはずなのに2週間ほどで元通り。山歩きは消費カロリーも大きいがリバウンドするのが常。健康なんだか、不健康なんだか...。

2023年4月28日金曜日

大峯奥駈道縦走

山行日 2023年4月8日(土)から12日(水)

大峯奥駈道を歩いてきました。順峰と呼ばれる南から北へ向かって歩くルートを選びました。田辺市の熊野本宮大社を出発し、奈良県は吉野の金峯神社まで。ですが、女人禁制の山上ヶ岳があるので、山上ヶ岳南側の女人結界である阿弥陀が森で、東へルートを取り柏木へ下山しました。柏木には、私の父ちゃんが迎えに来てくれとても助かりました。

さて。水です。このルートを歩くにおいて難題はその距離の長さもさることながら、水です。
新宮山彦グループさんの情報によれば、2週間雨が降らないとアウト、だそうです。ですから、出発3週間前からアメダスの情報でこの地域の降雨あり、なしとメモを取りました。

🗻4月7日(金)、近鉄大和八木駅出発。日本一長い、停留所の多い奈良交通の八木ー新宮を結ぶ路線バスで移動。熊野本宮大社付近のAir B&B(民泊)を利用して前夜泊。この日はものすごい大雨。土砂降りもいいとこで、これで水の心配はないだろう、とホッと安心。

谷瀬の吊り橋で休憩。でも大雨で散策できず


🗻4月8日(土)5時過ぎ民泊出発。予定行動時間9時間ちょっと。
天気晴れ ただし強風が吹き付け体感温度はかなり低かった。

備崎橋から出発 水量多いので渡渉はしません

写真真ん中の赤丸印が前夜泊した民泊のお家
橋から2時間歩いてやっと前日泊まった町が見えた


金剛多和の宿近くの水場 降雨翌日ということもあり水量豊富

玉置神社到着 思いのほか参拝客が多くて驚いた
水は社務所の鯉の池横で汲む もちろん社務所の人に断りを入れた

この日の宿泊地である展望台へ向かうが、どうしても暖かいものが飲みたくて、駐車場横にあるはずの茶屋へ向かう。自販機ではコーヒー以外は売り切れ。コーヒー以外を飲みたかったのだが。茶屋に入ると、暖かいのはコーヒーだけだったが、室内の暖かさに誘われ(=長居したかった)注文。その後、月見うどんも注文してしまった!

月見うどん(600円)他にきつねうどんなどもあった
お出汁が最高に美味しかった!高級食材の卵が乗っかっている!

展望台は風が強くツェルト張るにはかなりつらい状況だったので、半時間ほどウロウロした。

足がはみ出て頭もはみ出てたような状態で
一晩過ごした。自立させることができたので
緊急ビバークより快適だったが。

🗻4月9日(日)午前5時過ぎ出発 予定行動時間11時間半ほど
天気 晴れ この日も少々風が強かった

この日は平治の宿まで。とことこ、とことこ、とにかく歩く。
前日は、玉置神社まで人に会うことなかったが、この日は、トレランの人や逆峰で吉野から歩いてきたという海外の男性、山彦グループの方々に会った。
平治の宿の水場は心配ない、や、小屋は電気が点くからね、など情報をいただいた。

地蔵岳付近から見えた建物。あれは小屋か?と思ったが
無線中継の施設だった

とにかく長い。膝も痛い。登って下りて、また登って下りて。時々鎖場なんかもあるので、単調ではないものの、やっぱり11時間半の道のりは長い。

平治の宿など、山彦グループさんが管理している小屋は置き水がある、との事前情報だったが平治の宿には置き水がなかった(残念)。日の入り前に到着したので水を汲みに行く。こちらも大雨の翌々日のこともあり豊富で助かった。

小屋に戻ると、吉野から2泊3日で本宮まで行くという単独女性が小屋におり、ご飯を食べていた。「アドベンチャーレーサーか?」と聞くと「違う」という。「トレランナーか?」と聞くとそれも「違う」という。では「登山?」と聞くと「ええ、普通の登山です」と。夜中の0時に起きて1時には行動開始して1日18時間ほど行動するのは「普通の登山」ではないよ。

小屋内のテーブルに「太平洋」という新宮の酒蔵のお酒、半升瓶が封したまま置いてあった。新年の挨拶と共に「ご自由のお飲みください」とあったのでだんさんと2人してうわぁ、開けたい!と思ったいたが、女性がいたので遠慮して開けずじまい。あぁ、もったいない。

🗻4月10日(月)5時過ぎ予定が、半時間寝坊してしまった。行動予定時間10時間
天気 晴れ この日も空気が冷たい

3日目。この日の半分を過ぎると、全行程の半分を終えたことになる。しかし、膝がかなり痛い。両膝にサポーターを巻いて歩くが痛い。

釈迦ヶ岳手前の太古の辻で例の「ここから南奥駈道」の看板。反対側には「北奥駈道」と書いてあるかと思いきや、それはなし。つまらんな。

釈迦ヶ岳には、と〜い昔に父ちゃんに連れてきてもらった。天気が悪くてくら〜い感じの山という印象があったが、この日は天気がよくて明るい。深仙小屋付近も広くてテント泊にはもってこい。あぁ、もぉここで今日の行程終わりたい...。
行精水の様子を見に行く。こんなとこだったっけなぁ?記憶はないが道はしっかりついているのでよっぽどでないと迷わない。


記憶では、壁にしたたる水量だがこの日はご覧の通り、しょんべん小僧並みに飛んでいる。これだけ水量あればここで泊まってもよいのだが。

ここから釈迦ヶ岳への登りがなんかほんとしんどかった。女性二人組とすれ違う。大きいザックを担いでいることから質問攻めに。もぉそろそろ勘弁して、うちらまだ先が長いんです、と言おうかと思ったくらい。この日出会ったのはこの2人だけ。

孔雀ノ覗(4時40分)。さすがに陽が傾いてくると空気がひんやりしてくる。仏生ヶ岳は登らず水場へ。だんさんが「ない!出てない!」というのでドキッとしたが、水を通す管は右側の山肌に突き刺さってあった。
鳥の水

こんだけ出てた。まだ少し宿まで歩かなくてはいけないので、2.5リットルずつ汲む。

陽が沈んできた。まだか、まだか、と言いながら進む。道を間違えてないよな?行き過ぎてないよな?最悪、水はあるのでどこででもビバークできるけど、できれば屋根と壁のある場所で寝たい。

楊枝ヶ宿
日没時間ぎりぎりに到着した。この日は貸切。誰もいない。二階建てのきれいな建物だった。近くに水場があるようだが、見に行かなかった。寝るのは9時ごろになってしまった。
この付近は携帯は圏外。写真の手前、小屋から一段上がったところでも圏外だった。

🗻4月11日(火)6時半出発 行動予定時間7時間
天気 ガスのち晴れ 町では最高気温25度以上の予報 山の上も晴れると暑かった

朝起きてみるとすごいガス。地図を見るとなかなか広い稜線を進む様で、道迷いしたくないので、完全に明るくなるまで待つことに。6時半過ぎに出発した。


歩き始めは風がきつくてこの日も寒い。先日は圏外で父ちゃんに連絡入れることができなかったので、随時確認しながら歩く。「船の垰」辺りで入ったので、送信する。
この辺で、反対側から来た若者とすれ違う。

もやぁとした霧の中を歩くのもなんか趣があっていいなぁ。
霧が薄くなって明るくなってくると原野という感じがあっていいなぁ。

明星ヶ岳に着くとすっかり霧が晴れた。
八経ヶ岳を過ぎると、さすが百名山。近畿最高峰。平日なのにたくさんの人とすれ違う。
弥山小屋付近で休憩。1時間近くもいたらしい。
聖宝ノ宿跡や弁天の森辺りでもたくさんの人とすれ違う。ほんとに人気の山なんだわぁ。老若男女いろんな人が登ってくる。

行者還トンネルへの分岐を過ぎるとぴたっと人気がなくなる。再び静かな縦走再開。

行者還ノ宿に到着。おじさんが1人立っていたので、泊まりか聞いてみると、日帰りで行者還岳に登りにきたらしいけど、なんかしんどいのかな?理由はよく分からなかったけど、他のメンバーが登りに行ってるのを待っている、とのことだった。

小屋の中は大きい部屋と小さい部屋の二間。2人なので小さい部屋に荷物を下ろす。水を汲みに行く。父ちゃんからのアドバイスで、ガレ場なので疲れていたら気をつけて、ということだった。
「水場北へ5分」と小屋前に書いてあった。5分かな?もうちょっとあるような。行者還岳方面へ歩いて行くと梯子が続くところがあり、1つ目の梯子の横が水場「行者の水場」なんだけど。


こんな水量。あまり薦められないが、梯子横の岩場(崩れそうなのでほんとに要注意)を登って、一段上に上がるともう少し水量があって、2.5リットル2本、3リットル1本を15分ほどで満タンにした。
ここは、要は、ガレ場の滝なので、水が貯まらないなんだろうな。雨が降ったら、だーっとそのまま流れていってしまうから、水が細いんだろうと思う。

小屋に帰り、天気がいいので小屋の前で飲み会を開始する。開始して少ししたら日帰りグループが帰ってきた。すでに5時過ぎてるのに饅頭を食べ始めた。日暮れまでに登山口まで戻れるのかな?お茶飲んでる時間、大丈夫?

グループが下山して行くと再び静寂。あと1日。

🗻4月12日(水)5時前出発 行動予定時間 7時間半
天気 晴れのち小雨

午後2時過ぎに父ちゃんに柏木に来てもらうようお願いしていたので、遅くならない様この日は5時前に出発する。ヘッドランプを点けての出発だったが、すぐに明るくなる。この日も誰にも会わず。

天気は下り坂の予報。いつ降り出してもいいように、雨具の上下を着て、スパッツ付けて、ザックカバーをつけてのフル装備。ところが、阿弥陀ヶ森を過ぎて伯母谷覗を過ぎるまで太陽が時々差すようないい天気。とはいえ、大普賢付近では雲が出て強風が吹いて寒かったりと複雑な空模様。

とことこ歩いて阿弥陀ヶ森の女人結界に到着。だんさんは初めて見る女人結界ということで、私は手前で、だんさんは門をくぐってそれぞれ記念撮影。



女人禁制については色々と意見があるだろうけど、私は入らない。もし生きている間に女人禁制が解かれればその時は大手を振って山上ヶ岳の頂上に立ちたいと思っている。

さて、ここでこの日のまだ半分の行程。先はまだまだ長い。

伯母谷覗では、寝転んで谷を覗き込んでみた。下が見えない。下から見たら薄かぶりのハングになっているんだろう。壁は見えずに谷底。とはいえ、木が生えているのでほんまの谷底は見えないけど。落ちたらほんまにやば〜い。

伯母谷覗を過ぎて沢筋に出る。最近の地図には「アスカベ平」と記載がある。ここも水場があって、テントを張るにはいいとのことだけど、うーん、テントを張る平地は...あったかな?


ちょっと分かりにくいかもしれないが、こちらは豊富に水が流れていた。まぁ、この柏木への道を使う人はそんなに多くないだろうから、あまり有益な情報ではないか。

この辺りから、植林林の中を延々歩く。てくてくてく。この最後の2時間こそ修行だ。時々、ヒルがくっついていないか気になって靴を確認。大丈夫。

車やバイクの音が聞こえてきた。木の隙間から民家や道路、川が見える。もう少し、と思うけどそのもう少しが長い。

沢に架けられた、落ちそうな鉄製の橋をいくつか渡った後、広場が見えた。反対側の登山口か!そうだった。さびれた神社があり、そこからコンクリートの道路を下りて行くとほんとの登山口。あぁ、終わった。長かった四泊五日。


柏木の村の中を歩いて行くと、道路脇のスペースに父ちゃんの車が見えた。見えたと思ったら父ちゃんが車から降りてきて迎えてくれた。
雨降る中、片付けしているとだんさんの靴に少し太ったヒルが付いていた。最後の最後にぎょえ〜〜!ヒル避けスプレー、最後の最後で登場。

しかし5日分の記録を書くのってほんと大変だ。