2021年10月16日土曜日

栂海新道縦走番外編

ずいぶん時間が経ってしまい、今さらな、情報を並べたいと思います。

どこの山を縦走するにも、水が必要ですが、旅の途中で水場があればとても助かります。栂海新道では、朝日岳から親不知までの間に、4カ所、水を取れる場所があります。
2021年9月末の状況ですが、参考までに列記します。朝日岳から親不知に向かって歩いた場合の順番に書きます。

黒岩平 平の中ほどに沢が流れており、ここを渡る際に簡単に水を得ることができます。水量豊富。水源方向に縦走路がないことからかなりきれいな水であることが推測されるが気になる場合は、要煮沸。

北又の水場 こちらも沢の水。水量豊富。片道3分ほど。汲んで戻って往復10分ほど。2リットルちょっとのパウチ水筒が、1分もあればいっぱいになる流水量。

黄蓮の水場 水量豊富。北又の水場より少しだけ遠いようだ。「ようだ」っていうのはここは私は行かず、ハズだけが行ったのでその様子を聞いたので。

白鳥の水場    白鳥小屋への最後の登りが始まるところに分岐点あり。ここはやや遠い。片道7〜8分ほどか。踏み跡を辿ると、細い細い沢の跡に出くわすが、これが水場ではなく、さらに奥へ進む。この細い沢=枯れ沢が水場だと引き返す人が多いのか、ここまでの踏み跡はしっかり、ここからの踏み跡はやや薄い。とはいえ、しっかり分かる踏み跡なので進む。記録にも書いたように岩の割れ目から湧き出ているので、枯れていることの方が多いと思われる。タオルを濡らすのに、1分ほどかかる水量。
注意 この水場は白鳥小屋=白鳥山頂上からの水が滲み出していると推測。よって白鳥小屋で用を足すときは、その場所に注意すること。反対側にトイレ跡があるのでそちらを使うべし。

シキ割 ここも水量豊富。昔の山地図(エリアマップ)には「飲用注意」と記載あり。地形を見てもなぜかは不明だが、とりあえず「飲用注意」のこと。

いずれも気になるのであれば、煮沸されたし。ただし、煮沸はぐつぐつ状態を1分以上保って初めて煮沸した状態となるので、沸いたからオーケーでない。アメリカの国立公園にバックパックで入山するときそう注意された。

さて、今回の旅のごちそう。
まず朝日小屋の夕食
地元で採れた材料をふんだんに使われております。湯豆腐、陶板焼きには自家製タレ、ホタルイカの沖漬け、ご飯は地元産こしひかり、などなど。

次に、親知らず観光ホテルでの夕食。今回は豪勢に「カニ料理」コース!
カニしゃぶ、天ぷら、お刺身、カニ釜飯などなど、カニのオンパレード。極め付けは、左側に鎮座されているカニ一杯!これ、最初、飾り用かと思って手をつけてなかったら、食べる用、で時間制限ぎりぎりの手前で食べ方(解体の仕方)を教えてもらって急いで食べたのでした。カニ一杯を一人で食べたことなんてなかったので、そりゃもぉびっくり。そしてお腹いっぱい。幸せ〜。

で、朝ごはん。
こちらももりだくさん。ご飯とお味噌汁がまだ登場しておりませんが、地元で採れたかますのようなお魚を七輪で炙っていただきました。このお魚も美味しかったです。盛りだくさんで朝からお腹いっぱい。前日あれだけ食べたのに...。

とまぁ、歩いた後にまぁまぁな贅沢をした旅でした。今回このカニを食べるべく、高度障害が出ないよう、呼吸法を意識して歩いた甲斐がありました。

こんな贅沢な山旅はそうそうできません。9年越しの縦走を果たすこともでき、大変よい思い出となりました。

*写真 by ハズ

2021年10月10日日曜日

栂海新道 朝日岳から日本海へ

山行日    2021年9月28日〜30日

9年越しの再挑戦。栂海新道へ行ってきました。北アルプスを北へ向かって歩いて行くと、新潟県は糸魚川の親不知へ着きます。
このルートは地元の「サワガニ山岳会」が1961年に構想、10年かけて道を拓かれ、1971年に全線開通した山道です(白鳥小屋内にあった年表より抜粋)。ということは、今年は50周年だったのですね。キリのいい年に歩けたというのも嬉しいものです。

テント泊&避難小屋泊の予定でしたが、私が少し前に膝を悪くしたので、今回は営業小屋泊&避難小屋泊にしてもらいました。
コロナの影響で、営業小屋でもインナーシュラフなどを持って行かなくてはいけないので、あまり荷物の量が変わらない、ということも小屋利用の理由の一つ。

下山後は親不知観光ホテルに宿泊。コースタイム以上の時間がかかるのを見越して&翌日仕事に行く生活ではなくなったので、ホテル宿泊を決めました。

北又までタクシー利用ですが、車は黒東タクシーさんの駐車場ではなく、親不知観光ホテル前の駐車場に駐車。下山後、目の前に車があり、宿泊後はすぐに帰れるから便利ですよ、とホテルの人にアドバイスをいただいてそうしました。ただし、タクシー代が少し高くなりますが、利便性を考えるとこちらの方がよいです。
他に1組のご夫婦と単独の人が同じ日にホテルに泊まってらっしゃいましたが、この方達は、長野側から入山されたということでおそらく翌日電車などを利用して車まで戻られたと思います。

1日目 晴れ
北又からまず、イブリ山を目指します。◯合目の道標は、イブリ山頂上への道標です。
天気は悪くないですが湿気が多かったです。
北又小屋6時半に出発。イブリ山頂上10時到着。

イブリ山頂上から朝日岳方面を見て

トンボがものすごくたくさん飛んでました

途中、2日目に宿泊予定の栂海山荘がと〜〜〜〜くに見えました。さらにその奥に白鳥小屋も見えました。

イブリ山から2時間ほどで朝日小屋に到着(12時)。
左が宿泊小屋。右は従業員の方の小屋。私たちが一番に到着でした。結局この日は、私たちを含めて14人ほどの宿泊者と、テントは7張ほどでした。

最近、低い山でも高度障害が出るので、到着してからはウロウロ小屋の周りを歩いたり、ストレッチをしたりして体を休ませました。体が慣れてきたなあ〜と思ったので、小屋前のテーブルで宴会開始です。
ビールは「一番搾り」か「スーパードライ」1本700円
「バンザイ山椒」はなかなか刺激的な味でした

翌朝は早いので夕食後、19時ごろには布団に入りました。

2日目 晴れ時々曇り
3時に起床。今年は朝ごはんの提供がないので、前日に購入した混ぜご飯を食堂でいただきます。具無しおすましがサービスでついてきました。

用意が終わったので予定より早く3時40分に小屋を出発。まだまだ暗いのでヘッドランプを点けて歩きます。9年前は雨で朝日小屋で敗退したので、ここからは未知の道です。ヘッドランプでも道ははっきりしているので、迷うことはありませんでした。

4時50分前に朝日岳頂上

風があって少々寒い朝でした。風が当たらない場所へ移動して休憩。ここから吹上のコルまでの道は少し分かりにくかったので植物の生息地に踏み込まないよう、印を探しながら歩きました。

吹上のコル(5時35分)で日の出を迎えました。いやぁ、山で見る日の出はほんと綺麗です。
見事な日の出、朝焼けです

この後、少し曇りがちになりましたが、長栂山(道は山頂通過せず)、アヤメ平を経て、黒岩平へ。
黒岩平(8時15分) すでに秋深まっておりました

少しゆっくり歩きすぎたのか、コースタイムギリギリの状態なので、ここから黒岩山までハズが飛ばします。膝が心配ですが、がんばってついていきます。この間はなぁんか長く感じたなぁ。
8時45分着

9時50分着

サワガニ山手前で見つけたクワガタ

去年崩れた崩壊地。新しい道がつけられていました
新しいとはいえ、通過注意

この後、北又の水場があり、水を取りに行きます。豊富に出ていました。水場の話はまとめて別途書きたいと思います。

さて、北又の水場から急登になります。地図に書いてあるので覚悟していましたが、この辺から日が照り出して真夏の暑さ。こたえました。犬ヶ岳までがこれまた遠いです。

犬ヶ岳頂上(11時40分) 左に栂海山荘

やっと到着!栂海山荘!12時前。
「さて、どうしよう?」というのは、翌日は日本海を東進する低気圧の影響を受けるかもしれない。はたまた逆にこの日のように暑くなるかもしれない。どちらにせよ、行動時間を短めにしたい、というのが二人の考え。

とはいえ、ハズはすでに次の白鳥小屋までプラス3時間半歩くつもりでいたようだ。あと3時間半歩くの辛いなぁ〜、と思っていた私は、少しとほほ、と思いながらも先に進むことを決める。(決して強制の前進ではない)

ここからは劇下り。膝には不安要素だが、登りよりは下りが気持ち的には楽〜。

13時前通過

黄連の水場で行動用の水を汲む。こちらも水量豊富だった様子。私は水場には行かず念のため、キネシオテープを膝に貼る。

14時前通過

14時半通過

この後、最後の登り。登りといっても感覚的に普通の登りを8乗したくらいのイメージの過酷な登り。そしてあいかわらず暑い。
白鳥の水場への道標があったので、体を冷やしたい、と水場へ行ってみることに。
枯れることもある、という話だったのでなんとか出ていて欲しい、と願いながら行くと、岩の小さい割れ目...学校の先生が持っている銀色の笛の吹き口くらいの隙間から水が出ていた。
1mほどの長さのホースがあり、それを割れ目に当てると水が流れて反対側で汲むなり、タオル濡らすなり、頭にかぶるなり、とできるようになっていた。そしてこの水が冷たい!タオルを濡らして軽く絞り、首に巻くと生き返った。

さて、道標まで戻り再び過酷な登り。すると後ろからクマ鈴の音が聞こえてくる。
え!誰?小屋で一緒やった人?そんなに早く歩ける人おる?さっきまで誰も後ろにおらんへんかったのに!
もう少しで小屋のはず、もう少しで小屋のはず。ここで抜かされるのだけは悔しいぞ。
そんなことを思いつつ、必死のパッチで足を動かす。

...勝った。なんとか抜かされずに済んだ。と振り返ると、北俣ノ水場ですれ違った人だった。どうやら地元の人のようで日帰りで登ってきたようだった。すっかり栂海山荘に泊まるんだと思っていた。そりゃぁ、若いし荷は軽いし、で早いわなぁ。

16時到着 白鳥小屋


は〜着いた!荷物を置いて梯子から屋根に登ってみる。登り初めて失敗した!と思った。意外と高い、怖い、この梯子。やめときゃよかった、ちょっと高所嫌いな私。とはいえ、ここまでくると日本海まで望めて気持ちがよかった。栂海山荘もしっかり見えた。

3日目 晴れ
4時半起床、6時半出発。どうしてもゆっくりコーヒーなんぞ飲んでしまい、出発までに時間がかかってしまう。
この日はすでに日が昇り...暑くなりそうな予感

さぁ、日本海に向けて出発だ〜。ここからはだいたいがぬかるんだ道になる。やや歩きにくい。ときどきずるっと滑るが、どてっといくまでに至らず、なんとかどろんこになるのをまぬかれる。

途中に「シキ割」という水場がある。地図には「飲用注意」と記載。どういう意味でか分からんので、飲用はせず、顔を洗ったりうがいをするだけで済ませる。

8時15分

坂田峠には、その歴史を書いた金属板が立ててある。読んでみると、旧北陸道らしい。現在の北陸道(高速道路)は、日本海ぎりぎりのところを走っているが、この山の中を、東西に人の往来があったとは驚き。しかも、さらに奥に行くと金の採掘で栄えた街があり、富山県の泊から芸妓さんを呼んでいたそうな。峠道標の西側に踏み跡が20mほどあり、振り返ると当時の往来が目に浮かんだ。

この後、尻高山(9時過ぎ)、赤い梯子のある場所、二本松峠(10時過ぎ)、入道山(10時22分)を過ぎる。木々の間から日本海が見えるがまだまだ遠い。海を気にしないようにして歩くことにする。

そしてとうとう11時20分過ぎ、登山口へ到着!

どうしようかと迷ったが、親不知の浜辺には空荷で行くことにした。意外と急な階段で浜辺に行くが、帰り(登り)がしんどいなぁ、ということで...。
荷物の整理を先にして、おやつとカメラを持って浜辺への階段を降りていく。


いやぁっほぉ!日本海だよ〜。山から海へ出たよ〜!こうしてみるとやはりなかなか面白いというか、達成感がある。いやぁ、長かった。けど、なんとか到着。この後、足を水に浸したりして休憩して、ホテルへチェックイン!

ちょっとしんどいところもあったけど、3日とも天気に恵まれ楽しかったなぁ。めでたし。