2012年5月25日金曜日

5月 春山にて

GW後半、剱に行った時。
剱御前乗越を越え剱沢に入った途端、がらりと変わる気温、空気の雰囲気。
思い描いていたルートの登攀は元より頂上も無理だろうな、と思わせる剱沢の雰囲気。
晴れていたらぐさぐさになって今日より歩きにくいだろう雪の上に一匹*の蝶が弱々しく羽を開こうとしていた。
GW前半はものすごく暖かかったからほんとの春だと勘違いして出てきてしまったのだろうか?
急に冬に季節が後戻りしてしまって、どうやらこの数日を過ごす体力は残っていないようだった。
はるかに私の命の方がしっかりしている。けど、助けることができない小さな命。助けるなんてそんな
だいそれことを人間という動物はしちゃいけない。なんでも助けるのがいいわけでは、ない。

山に登るようになって自分の生命、自分以外の動物、植物の命の存在を身近に感じるようになった。
今ここで一言で言うのはちょっと話を手短にしすぎだけれど、自分が生きてることを感じる為に山に登る。
これが私が山に入る一番の、そしていつまでも根底にある理由。山の高い、低い、easy、hard、は二の次。
寒さを感じてどうにかしようとする。私は自分が生きていることを実感し、楽しむ。

こう思うにいたった話はまた、いつか。






















*蝶々ってどう数えるんやろう?って調べたら生物学上では一頭、二頭、と数えるんだそうです。
参考までに。
「日本辞典」 http://www.nihonjiten.com/nihongo/kazoekata/index.html
「JapanKnowldge」 http://www.japanknowledge.com/contents/material/kze/html/column/column_kaz_10.html



2012年5月23日水曜日

春山 剱の写真

4日の夜、上市町内を夕食を食べるところ探して放浪中に見つけたこのお店。上市駅構内にあり、もぉこの名前、山屋にうってつけやん!と思って入ってみたら、夜は飲み屋さん営業だけで食事は提供していないそう...。残念。

しかし、上市駅はかなりさびしい雰囲気だったぞ。駅の看板も字が消えかけていたぞ。でもこのお店は繁盛していた。会社帰りのサラリーマンの方々が1週間終わってリラックスした様子で楽しそうでした。

これまたうろうろしてた時に車の中から撮った写真なのですが、雨が降っていたにも関わらず、夕日が見えて...。でもすごい黄金色!車のフロントガラス通しだから少しくすんだ感じになってますが、ゴールド、でした。こんな色の夕日を見るのは初めてだ。明日の天気はどうなるのだ?これは夕焼け?晴れの兆候?果たして...




そして日は2日飛んで5月5日。剱沢から脱出して雷鳥沢に戻ってくるとあらら、なんだかいい感じのお天気でした。太陽こそは見えなかったものの、雪面がうっすらと明るく風もなく雪はもちろん、雨もなく...。
但し、上空の風はものすごいきつかった。雲の流れが速いのなんのって...。
そして山スキヤーの方がいっぱいでした。スキーもできたら楽しいんだろーなー。



そして打ち上げ(気分は普通で盛り上がってなかったけど)で一泊した富山市内。路面電車が走ってます。カワイイ色遣いですが、この列車の前に通った電車は、真っ黒の真四角でイカツイ列車でした。走る鉄の塊、そのものでした。

ということで、2012年の春山終了!
2週目、3週目の週末も相変わらずマッターホルンに向けてと岩登りに励んでいる私でした。


2012年5月16日水曜日

2012年5月3日〜5日 剱岳山行

北ア前穂から帰って中1日で今度は富山へ出発。天気も悪いし、体調も復活していないだろうから正直乗り気ではなかった。「行く」と言わんときゃよかった、という後悔の念で出発する。
車に乗った途端に爆睡。気がついたら名神の黒丸PAだった。
その後、北陸道経由で福井に入ると雨が降り出す。夜に立山に到着するも食べる食事処がなく(小一時間車で走り回るも見つからず)、コンビニでおかずを買い込み、雨が降っているので2台で行った車、それぞれの車中で食べて朝まで仮眠。

4日朝、少し青空が見えていたものの山の上は雨だろうと期待せずに出発。案の定、室堂は雨。てくてく6人並んでガスの中を歩いて行くと雷鳥沢のテント場が見えてきた。あそこからの登り、ガスで前が見えないことが幸いして無心になってひたすら登る。途中でみぞれからぼた雪に変わっていった。
剱御前小屋前に到着して剱沢を見下ろすとガスの中でテントもあまり見えない。とりあえず夏道無視の直線降下で剱沢に下っていくと小屋は営業しておらず、お酒を持ってこなかったことを後悔する。この時点で雨具はかなり濡れ、その役割を果たしていない。
テントを張り(6人用に4人と2〜3人用に2人)、中に入るも飲むものがないので、この日は皆おとなしく、いや、予期せず休肝日。
夕方前から完全に雪となり風も強く吹き出しテントの1/3が押しつぶされる様な状態に。この強風が一晩中続いた。

5日朝。一応、計画通り3時起床。しかし、間隔が開いてきているものの風いまだに強く、また一晩で新雪が10センチほど積もり、源次朗尾根は中止。かと行って一般ルートは登山可能かというと、新雪雪崩の恐れあり、でとりあえず5時頃まで待機することに。

5時頃。テントの外が明るくなったのが分かる。再度、6テンに集合してどうするか話し合う。外では「ガッサ、ガッサ」と雪を掘り、テントを撤収する音が聞こえてくる。お隣さんはまだいるようだ。どうするんだろう。なんて考えていたら今回は一般ルートもなし、という決定が下された。そうと決まればすたこらさっさと下山開始だ。
朝ご飯をいただき8時か8時半頃、荷物をまとめて撤収する用意。テントの外に出てみれば...あれだけあったテントの数が激減!いつの間にか気配なくお隣さんも撤収済み!残るのは私達と少し離れたところに4人用位の大きさのテントが1つ残っていただけだった。
気がつくと、下山とは反対方向にこちらに向かってくるユニフォームらしき山服を着たレスキュー隊3人が。
先日に剱に登った2人組が下りてこないという通報があったらしく、こちらのグループは全員揃ってらっしゃいますか?と聞かれる。もちろんおりますので、残るはあの、4人用くらいの大きさのテントか?と思ったらそうだった。中から女性が1人出てきて警備隊の方達に事情を説明している。風が途切れたときに聞こえてくる救助隊の会話ではどうやら無事そう。

剱沢を出発し、雷鳥沢が見える傾斜で雪上訓練をすることに。個人的にかなり苦手な項目である。それに、いきなり滑ったらそんな、滑落停止をする余裕があるのかどうか...。しかししないよりはした方がいいので、結構がんばる。

12時。雪上訓練も終了し室堂まであと一踏ん張り。1時間ほどで室堂に到着。バスターミナルは人、人、人でごった返していた。そんな中、台湾からのツアー客もいた。あらら、日本って有名なのね。でも、嬉しい。

この日は、結局富山市内のビジネスホテルで宿泊し、6日の日曜朝から帰宅した。
もう少し、なんていうか、やった!っていうクライミングだったらビールもよかったんだけどね〜...。


2012年5月11日金曜日

2012年4月28日〜5月1日 北ア前穂高岳北尾根

夏のヨーロッパアルプスに向けて本チャンルートでお互いの呼吸を確認するため行ってきた。
27日(金) 22時大阪で玉ちゃんをピックアップ。一人で運転し岐阜県の平湯温泉近くのアカンダナ駐車場へ。
アカンダナ、とは変わった名前ですが、これ山の名前です。駐車場から見える山の名前で漢字の表記は調べてみると「赤んだな」だそうで、この辺りの土地の形状を棚と呼んだことから...私の推測では「赤い棚」がなまって「あかんだな」となったのでは?と思ってます。

28日(土) 6時前のバスに乗り上高地へ。6時半に到着、なんだかんだ準備をして出発。横尾まではいつもの無心で歩く、を心がける。明神岳を過ぎる辺り出見上げると登る2人パーティが。明神は少し色々と思いがあり登りたい山だけど登るのを控えてる山でもある。
横尾まではほとんど雪無し。積雪期用の靴で歩くのがやや辛い。横尾を過ぎると雪が現れるものの夏道をなぞる。ということは5年ほど前に来たときよりは雪は少ないということだ。
涸沢に近くなる度に頭上を飛んで荷揚げするヘリの音が大きくなる。ビールに食料などなど...GW休暇の人出を見込んで荷揚げ作業が進んでいる様子。上高地から5分ほどで到着するらしい。歩けば約6時間のところ、だ。このヘリに乗ったことのある人に今回涸沢で出会ったのだが、2300m辺りから一気に1500mまで高度を下げるので案外気分が悪くなるらしい。
13時に涸沢に到着。テントを設営。玉ちゃんの知り合いが涸沢に詰めてるとのことで、初対面。ビールをごちそうになる。
これに関してはちょっと個人的に複雑な気持ちがあった。

29日(日) 3時起き、4時40分に北尾根の取付となる5.6のコルに向かう。玉ちゃん、足やや遅く、1時間20分程かけて到着。この時点で私達の前には13人、ざっと数えて6パーティーが前進していることになる。登攀道具を身につけて五峰を登る。しまった雪で気持ちのいい歩きができる。
3.4のコルに7時50分頃到着。ここからロープを出しての登攀になるが、結局40分待ち。8時半登攀開始。つるべで登り12時頂上。
天気が良すぎたからか私がここでミスする。時間で行動を切るのを忘れていた。11時までに前穂に到着すれば、と思っていたがすっかりこのことを考えるのを忘れていた。ここで吊り尾根に向かう道を探すのに2時間ロス。は!っと気付いて14時に同ルート下降に決めた。が、ここでちょっとまた時間を喰ってしまった。
結局、19時頃、暗くなるところぎりぎりまで行動し、3.4のコルまで戻り、雪洞を掘りツェルトをかぶりビバーク。春山、気温は比較的高く、風も無風状態でのforced bivyでよかった。というのも、なぜかシュラフカバーを忘れて着の身きのままで一晩を過ごした。ひょっとして低体温症などで翌朝息がなかったらどうしようと言う私に余裕の玉。ま、いいけどね。なんだかんだと2時間くらいはうとうとして目が覚め、の繰り返しで夜明けを迎えた。

30日(月) 明るくなってから行動開始。同ルート下降に決めた。登ってくる人達が多い中恐縮しながら逆行する私ら2人。すいませんです。10時に涸沢についた。玉の知り合い(山の師匠)が双眼鏡で覗いていた。うぅん。気持ちは分かる。だけど。夏の山行に向かっての2人のトレーニング。そこまでしていただくのは、正直私の本望ではない。が、娘を心配する親父の気持ちと思えば理解できるので、山の中でその気持ちだと割り切るのに少々パワーを使う。

この日に下山、ぎりぎりできたかもしれないが年が年だけにやっぱ無理!ということであと一泊することに。

5月1日(火) 前日寝たので3時起き、5時出発。思ったよりも天気良くラッキー。10時に上高地に到着し30分発のバスに乗る。ちょうどGW休暇の間の平日だからか乗る人少なし。
平湯温泉も空いていてよかった。帰りは高山のインター近くの中華屋さん(山屋御用達らしい)でランチをいただきgo home。

さて、1日半後には今度は所属山岳会の山行で富山に行かねば。かなり辛い思いで帰宅した。年取るとしんどいわ、山のハシゴは。

涸沢までの道。1500mを過ぎたらまだまだ雪山


ヘリでの荷揚げ 好物のビールなどが運ばれる 
有名な涸沢のテント村 私達のテントの受付番号は250

五峰への登り 綺麗なトレース 青空 気持ち良い

三峰頂上辺りで気がつくとハロが う!天気悪なるの?

forced bivy  いやぁ、春山だから助かった

下界ではやっと春 天ぷらするには遅いけどね