2017年9月14日木曜日

アブミの練習

2017年9月10日〜11日
名張 小太郎岩

久しぶりにアブミの練習をしに名張の小太郎岩へ。2年ぶりの参戦。前回は、私が意気地なくライオンハングを越えることなく下降。ハズにちょっと危うい懸垂下降をさせてしまった反省で、今回は何がなんでも登るぞと密かに闘志を燃やしておりました。


写真真ん中に写る岩。ライオンのように見えませんか?ということでライオンさんの顔を登るのです。鼻のところとデコのところが複数段ハングになっており、A2の練習をするにはもってこいの場所なのです。

9月10日、本州は北から南までほぼ晴れ、お出かけ日和という予報。天気図見てもかなり良さそう。たっぷり1日練習してやるぞ、と早朝に出発。10時頃取り付き下部岩壁左側のルートをハズがリード。調子良くセカンドで登り、一旦下降。そいでは次にライオンハングへ行こうと、下部岩壁右側へ移動しようとしたら、雨が降り出した。この半時間前からなんだか雲行き怪しいなぁ、と思っていたのですが。時々、やけに冷たい風が吹くし。嫌な予感的中。しかも、けっこうな大雨。あっという間に濡れた。
とりあえず、退散。今は利用されていない宿泊施設の建物があり、そこの軒下で雨宿り。

ついでにお昼を食べて、ぼけ〜っとしてると昼の2時近く。この日は諦め撤収。
しかし、天気予報当たらない。山沿いで雨、って一言でも言ってくれてたら気分はまだましだったのに。

9月11日
この日は曇の予報。とりあえず、雨が降るまで、ということで再度挑戦。しかし。前週に登りに来ていた山岳会のメンバーの情報通り、下部岩壁右側のルートのすぐ近くに大きな蜂の巣が。




昨日も登っていたら2匹ほどだったが、偵察にきていた。登っているのにぶんぶん周りを飛び回る。じっとしていると登れないしで時間がかかった。
でっかい蜂の巣。下の写真、模様のように見える茶色いの、蜂です。ひっきりなしに出入りしている。おぉこわ。ということで、前日登った左側の壁を戻る。登って終了点から右方向へ50mほど踏み跡をたどるとライオンハングの真下に出る。確かつながってたと記憶してたんよね〜。

で、ここでも蜂の巣が。ライオンのデコハングの近く、(10mくらい離れたところか?)ほぼ写真と同じ大きさの巣が。とりあえず登り始めたが、昨日より多い蜂がぶんぶん飛んでくる。ビレイしながら見てると、ハズの周りを蜂がブンブン飛んでいる。ついでに私のところまで飛んできて、耳元をブンブン飛ぶ。ケンカをしてる蜂もいる。やはりこの時期、血気盛んなんだろうか。
鼻の下まで行ったけれど、この先、さらに蜂の数が増えるかも。さばいたアブミが知らずに当たって蜂が怒って襲って来るかも知れない、ということで鼻の下で下降することにした。
何もなかったらそれでいいけど、岩に貼り付いている状態で対処できないもんね。他に人がいればいいけど、2人だし。

小太郎岩にとことん縁のない2人でした。

道中、トンネルをいくつか車で通るが、そのトンネルの端の天井にも、写真よりはるかに大きい蜂の巣があった。蜂にとってはいいところなんだろーなー。しかし、車で走りながら分かる大きさってほんとすごいよ。
山に行かない人も、この季節、蜂には気を付けてください。




2017年9月6日水曜日

猫猫周遊山行

2017年9月3日(日) 大猫山(2070m)&猫又山(2378m)

父ちゃんと2人で剱岳の北方稜線にある猫又山へ行ってきた。
なんとなしに、どっか行きたい山ある?と聞くと大猫山から猫又山へ行き、ブナクラ乗越からブナクラ谷沿いに下りるという周遊コースを行ってみたい、と言うたのでそれではと行ってきた。

先に言うておくと、藪漕ぎ好きの人にはたまらん山だということ。8月の赤木沢遡行最後の藪漕ぎで文句を言うてた私ですが、あんなものはかわいらしい、屁でもない藪漕ぎだった。行かれる方は、藪漕ぎ覚悟で行ってください。

コースタイム12時間のところを13時間で歩いて帰ってきましたが、いやぁよく1日で帰って来れたな、と。天気が悪い方向に予想が外れたのと、なにより藪漕ぎで時間がかかった。正直、途中でビバークを覚悟した。


馬場島荘から40分ほどの場所にある登山口。小さいお手製の板がおいてある。ここから取水口が見える。以前はここまで車で入れたようだけど、馬場島荘から10分ほどのところにゲートがあり今は進入不可。
この日は、私たちの他にトレラン姿の男性とハイキング姿の女性ペアの1組がいただけ。ここで朝ご飯を食べていたので先に入山された。この後、この2人と会うことはなし。




6時過ぎ入山。振り返ると早速、早月尾根の向こうに大日岳や池ノ谷下部から剱が見えたりして嬉しかった(6時半頃)。

で、最初の1時間くらいはよかったのだけど。その内、藪が出てきた。背丈くらいの笹がすごい。かき分けてもかき分けても藪。エリアマップでは、藪地帯と書かれていなかったのに。とはいえ、そら藪はあるやろう、まぁ、時々、藪かなぁ、くらいに思っていたけど、延々「藪」。ただし、道はしっかりしており、赤テープもあるので間違うことはないけれど、かき分けてもかき分けても藪なのには早々嫌になってきた。父ちゃんと先頭を変わる。

その内、8時半頃、早々に雲が湧きだし...

この後、剱本峰が見えなくなった。この辺りにも雲が下り、遠望のない中ひたすら藪漕ぎが続いた。


時々、先頭を代わってもらう。この程度(↑)の藪はカワイイ方で。先頭を代わっても藪は藪やぞ、と父ちゃんに言われたが、「道を確認しながら進む藪」と「前いる人を目がけて進む藪」とは精神的負担が違う。


時々見かける花に癒され...。この時点で剱の遠望を見る楽しみは捨て去っており(下の方の藪にひっかかっているだろう)、とにかく、この日、明るいうちに馬場島荘へたどり着くことだけが目標となっていた。ちなみにこのお花はオオヤマリンドウです。

稜線に出たな、と思ったけれど道が稜線の向こうに続いている。稜線を回りこむのか?行ってみるとすとんと落ちている。おっと危ない。父ちゃんのGPSで方向と道を確認してもらう。出発前、GPSを持ってきて、と言ってなかったので不安だったが、持ってきてくれていてほっとした。

お地蔵さまのいる小さい平たい場所に着く。大猫山か?標識ない。とりあえず、写真を撮って先を急ぐ。藪こぎで時間をくうからか、本日、コースタイム通りなのが気になる。

稜線はそないに藪がないだろう、と思っていたらそこそこ藪漕ぎ。でも、
時々現れるお花畑につかの間の安らぎを覚え...。この写真は11時過ぎ。2135m付近でしょうか。ちなみに先ほどの9時頃から完全に遠望なく。どの辺を歩いているのか、GPSでしか自分の位置を確認できないのが、景色、地形、地図を合わせての位置確認に慣れているせいか私的には不安で仕方ない。

稜線はガスの中。うっすら見えるあのピークはなんだ?とにかく前へ、前へ。
歩くうちに開けた場所に出た。大きな一枚岩に分岐の印がペンキであった。ここで1本休憩を取り、猫又山山頂へ。ぽつぽつ雨も降り出した。

そして猫又山山頂へ。GPSの軌跡では大猫山も踏んでいるけど、標識がなかったのでこの日、初めての頂上。父ちゃん喜ぶ。よかった、よかった。でも、先はまだ長い。写真を撮って早々に先ほどの一枚岩の分岐点へ引き返す。

分岐点=草原地帯→(この間ガスっていて道が分かりにくかった)→ゴーロ帯→標高差600mの急傾斜下りを藪漕ぎ→ブナクラ乗越。
ブナクラ乗越の手前でものすごく焦った。地形図では、分岐点から南へ稜線を標高差600m下り、ブナクラ乗越に着いたら西へ、すなわち右方向へ流れ出るブナクラ谷へ進むと頭に入れていたのに、左方向へ道が続いている。しかもフィックスロープが張ってある。右方向へ行かなくてはいけないはずがなんで正反対の左方向?周りはガスが立ちこめていて遠望きかないので、頭の中が混乱。本当にこの瞬間は、脳みそが頭の中ででんぐり返りするような気持ちの悪い感じを覚えた。(3日経ったがこの時の方向感覚を思い出しても今だ納得いかない。)
踏み跡も直進方向にはない。右側にも続いていない。とりあえず、ロープを伝って30m程下りる。見上げると大きな岩があり、これを捲くためのものか、と思った。それならロープの終わりから右方向へ道があるはずだけど、さらに左方向へ向かっている。テープが見えたけど、あれあれあれ?また混乱。GPSで確認してもらうと、左方向が正しい、と言う。そろそろ乗越なんだけど、とも父ちゃん。
そしたら、ガスがうすくなった瞬間、乗越にあるというお地蔵さまらしき石が見えた。あ、あれ...かな。間違っていたら登り返せばいいや、と進んでみるとお地蔵さまがいらっしゃった。ほ。

気がつくと、この辺りは雨が降っていたらしく藪が濡れていてその中を来たものだから、ズボンが腰までぐっしょり濡れていた。登山口のある取水口まであと2時間半。このまま下ろうかと思ったけれど、雨がひどくなって冷えて動けなくなったら大変なので、ズボンを脱いで雨具のズボンだけ履いて下ることにする。これが意外と暖かくて快適でした(笑)。

ここからまた藪漕ぎ。10分ほど下りたゴーロ帯で道を探し、藪地帯に再三度突入。とはいえ、ある程度まで下りると草刈りの跡があり、歩きやすくなったことこの上なく!

乗越から1時間ほどで戸倉谷出合(↑)到着。思った以上に水量が多く、徒渉点を慎重に見極める。

戸倉谷徒渉後、大なり小なり5つの沢の徒渉と沢と化した登山道を歩いて明るいうちに登山口へ到着できた。

あぁ、見えてきた、取水口。写真右側に小さく見える広場の辺りが登山口。

しかし、父ちゃん、よく歩いたなぁ。お疲れさんでした。でも、楽しかったか、と言えばあまり楽しくなかった山行でした。とにかくこの日の内に馬場島荘へたどり着かなくては、とそれしか考えずに歩いていました。こんな山行、今までなかったな。

で、この山行にはおまけがありまして。
馬場島荘へ戻って(この日はここで宿泊)片付けをしていると、私らの横の横の車にどこからか戻ってこられた女性が1人。確か、この方、今朝早くに車で来て出発してはったなぁ、と思っていたら、父ちゃんが話しかけた。すると、1日で早月尾根を剱本峰まで行って戻ってきたという。「えぇ〜!すごい〜!トレランですか?」と私がいうと「とんでもない!歩きです。」と。それならなおさらすごい〜〜!というと、「どちらに行かれてたんですか?」と聞かれたので、たいしたことないんですけど、と心の中で前置きしながら「大猫と猫又です。」というと「テントか何か持ってですか?」と言われるので「いえ、1日で。一応ビバーク装備は持って行きましたけど。」というと「いやぁ、そちらの方がすごいですよ〜!」と言ってくださった。なんでも早月尾根剱本峰往復は地元の方なら普通にされるとか(いや、でもやっぱりすげ〜ですよ。早月尾根1日往復は)。で、猫猫周遊は地元の方でも行ってみたいという人がいるルートなんだとか。しかも長いのでテントやら水やらを持って上がる=荷物が重くなるので、1泊2日となるのはなおのこと、だそう。なのでこれを1日で回ったということに驚かれていた。そしてこの方も「行ってみたいけど1人では無理なんで...」とおっしゃってました。
これを聞いた父ちゃん、「行ってよかった。その言葉を聞いて救われた」と急に元気になりました。私が藪は嫌い〜!と叫びながら登っていたのを見てかなり凹んでいたよう。彼女に感謝です。私も報われました。
でも、あんなに藪がひどいと分かっていたらほんとに行かなかったよ、わたしゃ。