2012年10月2日火曜日

マッターホルン登山 その8

2012年8月18日(土) 晴れ


5:40 起床
6:00 ソルベイ小屋発
11:00 ヘルンリ小屋着
12:30 ヘルンリ小屋出発
14:30 ツェルマット帰着

5時半頃、小屋の窓から差し込むうっすらした光に目が覚め寝ぼけた頭で、イタリアチームより遅く出てしまうとまた前日のように下降に時間がかかってしまうと考える。相方を肘でつつき、こそっと話をしてすぐに出発することに。とりあえず荷物を小屋の外に出して準備する。

4時20分にヘルンリ小屋を出たガイドパーティが6時にソルベイに到着
昨夜はもぉ下りよう、と言ったのに、ここから見上げる頂上はこの日も綺麗に晴れ渡り、おいでおいで、と誘っているよう。準備しながらじっと見つめて考える。私の優柔不断の虫が動き出す。もう一度、ここから再度頂上を目指せないか?相方に言ってしまった。相方はその気満々。行きましょう、と言う。行きたい、と言う。行きたいよね。行きたいよな。でも、水はない、パスポートはヘルンリ小屋で人質に、これ以上下山が遅れると救助隊などが出動したらかなわない=面倒なことは避けたい、そしてなにより気力があっても登り出すときっと体力が落ちていることに気がつき、前日よりも遅くなることは分かりきっている...ということでやはり下ることにした。この時点でガイド登山の先頭集団、1番目のパーティが到着した。2番目のガイドにはアジア系の女性がついていたが、かなりしんどうそうだった。



ソルベイ小屋に上がるのにガイドパーティも順番待ち
ぼっちら懸垂しつつ下降を始める。小屋直下を下りきるまではルートがはっきりしていたが1つ目の支尾根を越えた辺りから道が分からなくなる。登ってくる人を見てその方向に下りて行ったが、今度は2つ目の支尾根の次が全く分からなくなってしまった。この時点でかなり時間が経っている。あっち行ったり、こっち行ったり。イギリス人のカップルとすれ違う。言葉を交わす。前日、頂上に届かなかったことを言うと、ため息をついていた。自信がないのだろう。でも、この時間にここだと私達よりは可能性がある。
次に韓国人の6、7人のパーティとすれ違う。この人達も道が分からなそう。言葉が分からないので、挨拶だけしてすれ違う。ここでイタリアチームに追いつかれた。そっちとちゃうやろう、という方向へ「道がある。」と言うのでついて行ってしまったらやっぱり違っていて、登り返すはめに。しもた!こういうところは自分を信じるべきだ。
登り返して改めて上から見ると、踏み跡を発見。そこをたどるもどう考えても登りに使った道ではない。でも、しっかりした踏み跡なので間違っていないだろう。この先から2回懸垂して第1クーロアールまで出る。ここからは簡単なルートでヘルンリ小屋まで歩いて下り、11時過ぎに小屋に帰着。パスポートを取り返す際、前日はどこで寝たのか?と聞かれ、ソルベイ小屋、と答えるとソルベイ小屋は20CHFかかるのよ、知ってた?と言われ、知らんと答えたもののしっかり徴収された。イタリアチームは徴収なしで下山していった。

この後、先ほどのアジア人の女性が戻ってきて食堂で片付けをされていたので話しかけてみるとツェルマット在住の日本人の方と判明。半時間ほど話がはずんだ。
現地ではハイキングガイドをされているということで、一度マッターホルンに登りたいということで1年ほど前からトレーニングをしてこられたという。登れて大満足だが2度と登りたくないという。私たち2人がノーガイドで登ったことにいたく感心されていたが頂上に立てなかったのだから感心にも何にも値しない。今度はガイドを付けて登ったらいいのよ、とおっしゃっていたが、それはどうも違うのだ。頂上に立ちたい、というのはもちろんある。けど、それはガイドに連れて行ってもらう、ガイドについて行くだけで立ちたいのではなくて自分達でルートを見つけて登りたいのだ。そんな話をしたが、相方は「登れなかったから負け惜しみにしかなりませんけどね。」と付け足した。ま、その通り。

この方とは、下山後、再度街中で会い、立ち話で盛り上がったが、再度、ガイド付きで行ったらいいのよ、とおっしゃる。が、やはりガイド付きではあまり面白くなくて頂上に立つだけならとっくにそうしている、と負け惜しみなく思うのである。

なにはともあれ、2012年の夏は終わってしまった。あれだけ恋い焦がれてきた山に振られてしまった。

ヘルンリ小屋からシュワルツゼーまでのハイキング道で。
振り返ると〜、そこには麗しき容姿のマッターホルンが〜...さいならっ!



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