2015年2月11日水曜日

14年9月の屏風岩

2月もあっちゅう間に半ばにさしかかりました。

さて...。本日は9月末の屏風岩の登攀について書いてみようかなぁ。まだまだ続く、去年を振り返って話...。

2014年9月21日(日)〜23日(火) 全日、晴れ、快晴、最高の天気!

岩登りを始めてある程度のレベルになったら挑戦するのがこの北アルプス穂高山脈にあります、屏風岩。もっと以前に登りたかったのですが、まぁ、パートナーに恵まれず、という感じで登山を初めて11年目の去年、やっとこさ登ってきました。

飛び石連休となった9月の2回目の連休。屏風岩を登る日が中日の月曜、平日。誰もいない貸し切り状態を期待して行ったのですがその通りでした。快晴。順番待ちなし。文句なしの本チャン日和。

さて、アプローチでの一番の核心は徒渉。前日に、最小回数浸かるだけで徒渉できるポイントを探して翌日、日の出前の薄暗い中をヘッドランプを点けて徒渉したのですが、前日の夕方でもかなり水は冷たかったのに、翌朝、そりゃ、朝だもんね、もお「きーーーーー!」って頭に電気が走るくらいの水の冷たさ。アニマル誰さんではないですが「気合い、気合い、気合い。」と気合い入れました。

T4には、テントが一張り。東稜を登っている2人パーティが。1つ感心したのがちゃんとトイレバッグを持ってきてはったこと。トイレのないところでは今後はこういう気配りも必要になってくるな、と思いました。

登りはハズが先に行って順調に高度を稼ぐ。他に誰もいないので焦ったり気兼ねすることなく自分達のペースで登れるのがいい。扇岩から核心のアブミ掛け替え。私が行くことに。どきどきしながら登って行く。けど思ったより大丈夫だった。この前週に練習で行った姫路の雪彦山でのアブミの方が怖かった。

この後からルートが少々分かりづらくなる。最終ピッチが精神的に一番核心だったかも。下手したら20m以上ころがり落ちるだろうルンゼで、泥に足を取られずる滑りになるのをこらえつつ終了点へ到着。しかも、このピッチ、ハズがセットしてた支点が細い枝を数本束ねたようなもの(とほほ)。私が落ちたら、ハズも一緒に引っ張られて壁を転がり落ち、いや、地上500m以上の空中を飛んで2人で地面に着陸するはめになるかもというネガティブな想像をする。
泥の部分は切り抜けたが、今度は泥がついた靴で岩から滑り落ちそうになるのをこらえて登る。「はぁあ、緊張するなぁ!」とその時!ハーケンみっけ!助かったぁ。そして、終了点の台地へ上がって緊張感急降下。これで安心。

しかし落ち着くのはまだ早い。ここから登ってきたくらいの時間をかけてテント場に戻らなくてはいけないのだ。屏風の頭から屏風の耳、最低コル、涸沢から横尾へ。涸沢小屋の前で日が完全に落ちて夜に。小屋の灯りが二人のこれからの下山ルートと対照的に暖かい。
一息入れ、ヘッドランプを付け下山開始。途中の本谷橋辺りでヘッドランプが見えた。こんな時間に私ら以外に歩いてる人がいる!8月の剱のことがふと頭をよぎる。すわ、また事故者か!とどきどきしながら近づくと、下山途中の二人のクライマー。この方々、北穂付近から滝谷を朝から登って、翌日帰る距離を短くしたいと、登った後にテントを片付け、とりあえず下りれるところまで下りようと下山途中だった。少々お疲れ気味だった。

先に横尾に到着し、テントに入るがビールも飲みたくない状態の私(珍しい)。一応、1本開けましたが、ほとんど飲まずご飯もほとんど食べずに寝てしまった。とにかく寝たかった。
寝る前にトイレに行った時に、先ほどの二人のクライマーがちょうど到着されて、一応、ビールの自販機の電気があと30分で切れますよ、と言ったら、年輩の人が若い人に「おい、ビール買っとくぞ。あと半時間で飲めんようになるらしい。」と言うたら若い人が、「ひょえ〜、今からビール飲むんすか?」と返してた。よっぽどお疲れだったのでしょう。私も同じ状況でした。

翌日は上高地まで歩くだけ。帰る準備をしていたら、前日の二人のクライマーの年輩の人と目が合った。暗くてそんなに顔が分からなかったのに、なんとなく、あ、前日の、という感じで会釈する。最近、ハイカーでもヘルメット持ってる人が多くなっていて、誰がクライマーか分からない状況になってますが、こういう、クライマー同士の相通じるものを感じる瞬間っていい感じ。

右側に昨日登った屏風岩を見ながら、あれ登ってんなぁ、あそこにおってんなぁ、と感慨に浸りながら先を急いだのでした。お陰で、いつも混んでいる平湯温泉、一番風呂に入れました。
この屏風岩登攀、That's the alpine climbing!! という数年に1回のめちゃくちゃ最高&満足山行でした。