2016年3月18日金曜日

読書の巻 「凍」沢木耕太郎著

さて。久しぶりに山に関する本を読みました。
日本を代表する世界的アルパインクライマーの山野井泰史さんが2002年にネパールのギャチュンカンという山に奥さんの妙子さんと挑戦、登頂。そしてぎりぎりのところで生還した話を書いた本です。

以前、山野井さん本人が書いた「垂直の記憶」は読んでいたのですが、この本はなんとなく読んでいませんでした。山を始めて10年以上過ぎて、人生の転機があり山に対するモチベーションが落ち着いてきて、山から派生した他分野の本に興味を持つようになって最近、「山だけ」の本はほとんど読んでませんでした。

山野井夫妻がギャチュンカンに挑戦するようになったいきさつから登頂を経て半死に一生を得る形で無事に帰りその後の治療の様子が時系列でフィクションで描かれています。
7〜8年前だったら多分、私もやりたい!と思いながら読んでいたと思います。岩登りを始めて買ったいろは本の始めに山野井さんが書いたエッセーが載ってあり、ものすごくそそられ、私もこういうことをしたい!と思っていましたからね。でももうその時期は過ぎてしまいました。

ただ、山野井夫妻の山行とはもちろん全く異なりますが、夫婦で登るということに今の自分の環境を重ねて読んでみたりして。そこが以前と違いますね。夫婦で登り、どっちかがどうにかなりそうになった場合、私ならどうするんだろう、ハズはどういう決断をするんだろうか?などなど。

冒険小説というにはあまりにも現実に即した描写とお話ですが、山登りはしてないけど、どうして山に登るの?とかどうやって山を登って下りてくるの?とかそういう興味を持ってる方でもどきどきしながら読めます。それこそ、沢木さんの描写が正確なので、山をしない人であっても頭の中に絵を描きながら読み進めることができると思います。



沢木耕太郎 「凍」 新潮文庫
ISBN978-4-10-123517-2


0 件のコメント:

コメントを投稿