2016年11月1日火曜日

明神岳一峰(2,931m) その2

さてさて、前回の続きです。

2日目のこの日10月10日(月)は晴れの得意日です。とはいうものの出発直前まで予報は曇時々雨と傘マークがついていました。土曜の夕方になってやっとこさ晴れマークがついたという、ぎりぎりまでやきもきさせられました。

子供の頃は体育の日だったこの日、朝5時に起床。朝ご飯は小屋で食べずにお弁当にしてもらいました。
豪華です。岩魚の甘露煮がついていました。これがたまらなくおいしかった。ご飯が冷たいのは仕方ないですがおかずがたくさんで嬉しいです。朝5時40分に小屋を出発。



出発前、小屋からの朝の風景(↑)。乗鞍岳が正面に見え雲が出ていたもののよいお天気。

小屋からまず重太郎新道を登ります。かれこれ10年ぶりに使う道です。一度、春合宿の時に下りましたが、積雪期は重太郎新道はとてつもなく難しいルートになるので使いません。なので、無雪期に使うのはほんとうに10年以上ぶりでしょうか。しかも登りに使うのは初めて。
少しづつギアを上げていきたいところですが、父ちゃんが張り切ってエンジン90%全開です。先に行かせた私が悪かった。父ちゃん、ばてるよ、そのスピードじゃぁ...。

重太郎新道には休憩できるポイントがいくつかあります。見晴らしがよかったり、危険地帯に進む前に少し一服して落ち着いたりするのにいいです。最初の休憩ポイント「カモシカの立場」で1時間くらいが過ぎ、お腹も空いてきてここでお弁当をいただきました。ほんとにおいしかった甘露煮♪

日も上がりだし少し暖かくなってきました。登る人が断然多いですが、連休最後の日に前穂高岳(3,090m)を登って帰ろうという超早起きの方が登頂し下りてくるのも見られます。進行方向右手にはこれから登る明神岳の峰々も見えています。


「岳沢パノラマ」まで登ってきました。小屋の赤い屋根が見えてます。紅葉も進んでいますね〜。道も歩きやすいように整備がされているので10年前とは違います。が、実はどんな道だったかあまり記憶がないのです。

明神岳の稜線の向こうから太陽が飛び出しました。あぁ暖かい〜。そして青空。いい天気!この3人でこれだけいい天気というのは結構珍しかったりします。過去には暴風とか山頂で雪が降ったこともありましたからね〜。

順調に登りコースタイムより早い時間で前穂山頂に到着。360度パノラマが広がります。
西の遠方には9月末に登った白山が(↓)。大きい山だなぁ、ほんとに。

 南西方向には、南アルプスと背後に富士山(↓)

そして北方向には、槍ヶ岳、その背後に立山の峰々(↓)。残念ながら我らの(?)剱岳は、槍に隠れて見えませんでした。 肩の小屋と殺生ヒュッテが見えていました。

頂上で半時間ほど過ごし、さて今回のメインイベント明神岳一峰へいざ出発です。
頂上から少し下りたところに古い標識があり、そこから明神岳へ延びた踏み跡をたどります。ペンキの印もロープもなにもない、本当に「一般登山者は立ち入ったらだめよエリア」です。
前穂下の分岐で。背後の一番尖ったピークを目指します


見晴らしがいいので難なく進みます。向こうから4人パーティがこちらへ向かってきてます。ヘルメットを着用してロープを担いでたので明神岳を五峰から登ってきたのかな?挨拶だけしてすれ違います。不思議そうな顔で見られますが、大丈夫です、私たち、どこに行ってるか自覚してますから。

この後にも数パーティとすれ違いましたが、その中に小さい男の子がいるパーティが!「あれ!すごいね〜。」と言うとロープで確保した男性がお父さんだったようで「息子なんです。10歳です。」と。「へぇ、将来有望だね〜。」と言うと照れ笑い。かわいい僕でした。何を目指しているか分からんが、気をつけてがんばれ!

小さい峰を2つ程過ぎ、核心の30mほどの細い稜線の前にやってきました。残置のロープが2本ほどだらりんと岩にかけられたままになっていますが、見たところ右側に寄るよりも忠実に稜線となるラインを登った方がよさそうです。岩もしっかりしているようです。(予習通り)

ハズが先に行き、父ちゃん、私の順で登ります。父ちゃんが登れるか心配してましたが、難なく登り切りました。このピークから少し下り、平坦な道を上ると明神岳一峰です。前穂の分岐から1時間ちょっとで到着しました。他に誰もおらず3人で頂上を独り占め状態です。上高地、徳沢と横尾が見えましたがいつもと違う距離感が新鮮でした。いつかは登ってみたい明神岳東稜も見えたし。大天荘岳から横通岳、常念岳、蝶ヶ岳の稜線もきれいに見えました。いやぁ、楽しい、楽しい♪

ここでも半時間ほど過ごしさて、それではそろそろ帰りましょうか、と出発。しかし、難しかったのはここからでした。来る時は標高が高いところから低いところを見ていたのでルートが分かりやすかったのですが、帰りは、登り返し、低いところから上を見上げて道を探さなくてはいけない。これが結構手こずって、帰りの最後のピークの手前で(前穂から来たら最初のピークを越えたところで)少し迷ってうろうろしてしまった。どこかで事故があったのかヘリがさっきから飛んでるし、絶対にうちら見られてるやろうし、「うわぁ、迷ってるんちゃうかぁ、あの登山者。」とかってヘリの中で話しされてるんやろうなぁ、と思いながら背中に妙なプレッシャーを感じ上に行ったり右に行ったり...。
結局、父ちゃんが少し無理矢理に突破した道から歩けそうな踏み跡を見つけ無事、前穂との分岐が見えるところへ出て安心。少し緊張した場面でした。

この後、紀美子平で休憩したのを最後に一気に小屋まで下山。最後の長いハシゴを下りた辺りから私が歩くのに飽きてしまって休みたいけどハズと父ちゃんは歩き続けるので「飽きた〜。」と言ったら、しりとりをしようという提案。ここから半時間ほどしりとりしながら歩いてなんとか集中力をキープして小屋に戻りました。

小屋の支配人さんと父ちゃんはちょっとした知り合いなのですが、帰ってきて宿泊の手続きをしながら父ちゃんが「疲れました〜。」と言うと「そらそうでしょ〜。」という冷たい一言(笑)。

宿泊2日目なので夜ご飯のおかずは別バーション(これはうちらだけではなく皆さんに対してそうです)というありがたい心配り。帰着したのが遅かったからだとは思いますが、ご飯の時間を最後にしていただき、私達だけなので「ゆっくりどうぞ。」と言っていただきました。なので、お言葉に甘えさせていただきました。ありがとうございました。

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