2016年1月11日月曜日

15~16年 年末年始山行 前穂高岳北尾根

さて3日目。この日が八峰から前穂頂上を往復の日。会の山行としては3度目か4度目か?一番進んだのは5.6のコルで、4年前。一昨年は私自身、最初の挑戦。天気悪く速攻下山。そして今回2度目の挑戦。

私の天気予想では、この日は視界悪く風強く雪降る。ラジオで聞く町の予報はまずまずよし、といったところだがなんてたってここは2600m。町の予報よりも高層天気図を見た方が当たる確率は高い、という場所。

テント撤収はないけれど、4時半起床、6時半行動開始。おやおや、結構天気、いいやん。大晦日の日の出だよ。


このあと、お日様が照らし、おっと私の天気予想は外れたか。悔しいけれどま、いい方に外れたからよしとするか。ビバークする気はさらさらないが、ビバーク装備を持っていざ出発。前日、ハズが少しつけたトレースはすでに埋もれていた。


ちょいと気持ちの悪い斜面をラッセルで進む。5mほど間隔を開けて後に続く。足元の雪が崩れたら結構下まで流されるなぁ、と左下を見ながら進むのを待つ。風はないけれどさすがに空気は冷たい。手の先がすでにしびれてきている。

さて、どう進むかでちょっとだけ意見の相違がある。私としてはこういう場合は忠実に尾根を辿るのが妥当だと思うのだが。岩場があるからといってその 下を捲くのはあまりよくないと思う。もちろん時と場合によるが、やはり尾根を辿るのがラッセル労力も少なくて済むし、ルートが分かりやすいし。

今回の山行で私はかなり黙っていた。基本を習ってある程度経験を積むまで他の山岳会にいたから、なんとなく意見を言いづらい、というのは日頃から感じていることだ。中途採用のメンバーは生粋のメンバーとは良くも悪くもスタイルも違うし考え方も違う。どちらのスタイルがいいとか悪いとかの問題でなく。やはり中途採用は意 見を言いづらいところがある。
 
 七峰のてっぺんからは懸垂下降。懸垂用残置がなく最初困ったが、ハズが目の前にある岩についた雪を掘ったら残置が出てきた。よかった。上の写真は八峰のテン場。オレンジのテントが行儀よく並んでいる。

雪が少ないので草付きのところは登りにくい。アイゼンの前歯が刺さるところがなかなかない。ピッケルも刺さらない。刺さったかと思ったら草の間にすかっと入っただけ。かなり嫌らしい。
七峰頂上に到着し、コルで一服入れる。朝の天気はすっかり悪い方に変わり、降る雪の量が増えてきた。風がないのが救いだ。
 
六峰の通称タヌキ岩を涸沢側から捲く。この後、登りがあってだだっ広い六峰のてっぺんに到着。そこから5.6のコルへ下る。ここで11時ちょっと過ぎ。今日のタイムリミットは12時だ。後続グループも到着し合流。後続はここで引き返すことに。私たちはとりあえず五峰てっぺんを目指して時間の許す限り進むことにした。

天気がかなり悪くなってきた。視界も利かないことが多くなってきた。うぅん、届くか、五峰?

思いの外時間がかかり12時になってしまった。五峰に届かず引き返すことに。

私個人の結論は、1ビバークなしには八峰からの往復は無理。そりゃ、20代の血気盛ん、ブルドーザーのように進める体力があるのなら1日往復は可能かも知れないが、サラリーマンの、趣味でハードな登山をやってる連中に無理だよ、1日で往復なんて。しかも、最近は前穂北尾根を目指す人達もめっきり少なくなってるんだからトレースを期待するのも宝くじで1等当てるかぐらいちょいと無理な話であって、やっぱり無理です。

行きはロープなしでなんとか登れたところも帰りはやはりいやらしく、時間が気になるがロープを出して安全第一でクライムダウンしたり懸垂下降したり。

なんとか日暮れまでにテントに帰ることができたけど、途中から私の胃がきりきりと痛み出して(なんでや?シャリバテ?)足がものすごく遅くなってしまった。迷惑をかけるほどでもなかったと思っているけどやはりないに越したことはない。テントに帰って暖かいモノを飲んだらいつの間にか痛みは消えていたけど。

大晦日の夜は雪がしんしんと降り続いたが風がなかったので静かな夜でした。紅白をラジオで聞くこともなく、翌日の下山、帰宅を楽しみに19時過ぎにはシュラフに入ったのでした。雪が降っていたおかげでこの夜は寒いことはなく、時々目を覚ますもよく寝れた。
こうして2015年は終わったのでした。