2017年10月2日月曜日

丸山東壁 緑ルート登攀 その2

2017年9月23日(土)〜25日(月)

下部ルートはこちら

上部ルート登攀開始。1P目は空中スタート。うまくアブミに立てずにぐるぐる回る私。中島みゆきの「時代」のサビの部分が頭の中に流れます。あぁ、やめて〜!
なんとか立ちあがり、その後はボルトラダーを時間を稼ぐため超特急で登ります。大ハングの下でピッチを切ります。時間が気になる。日暮れに間に合うか?


大ハングを越えるハズ。おぉ、飛んでるように見える。私は越えられるんだろうか?不安がよぎるがここまできたらそんなことを言ってる場合ではない。なにがなんでもこのピッチを登ってハズに合流しなくては2人とも地面に下り立つことはできないのだ。

そして登り始めた。ハング越えが2箇所。足元にはなぁんにもない。上部ルート1P目の取付は40mほど下。そのさらに数百メートル下には、このルートを登り始めた森が見えますが、怖くてあんまり下を見れない。というか怖くなるので下は見ないようにして、手元のアブミ操作に集中する。が、やはりハングの下でまたくるくる回る。なんで回るのぉ〜?また中島みゆきが歌い出した。時代は回ってないよ〜。私が回ってるのぉ〜。

日暮れが近づく。ガスが湧き出し辺りは薄暗くなり始めた。なんとか6時前に終了した。記念&記録のために写真を撮り、懸垂下降に取りかかる。怖いけど、立ち位置的に私が先に下りた方がいいので先に下りる。いきなりの空中懸垂。そしてまた...回る。くるくるくる〜。あぁ、目をつむってロープを操作する。半分すぎると壁に足がつくようになり回転もしなくなり無事着地。次にハズが下りて来たが、初めてハズが「こえ〜〜〜!」というのを聞いた。「クルクル回って止まる時、壁と反対側、谷の方を向いて回転が止まんねん。おぉ、こえ〜!!」としゃべりながら笑っているが、辺りはどんどん暗くなる。
暗くなるのも焦るが、さらに焦る理由が...。荷物をデポしたのはいいが25m離れた場所に置いてきた。ヘッドランプも...。この時点でようやく手元が分かる暗さ。互いの顔はほとんど分からない。ピンチだ!どうしよう。どうやって荷物まで戻ろうか?あ、そうだ!カメラがあった!カメラをプレビューモードにしてその明るさを頼りにハズが荷物まで戻る。
とはいえ、このバンドのトラバースが悪い。草付き、濡れてる、クライミングシューズ。滑って落ちたら...。
無事、ザックまで戻り私のヘッドランプを持って戻ってきてくれ、そしてまた荷物の場所まで戻って私をビレイする、という三度手間かけてしまい時間があっという間に過ぎていった。
暗くなっての行動は危険が増すが、ホテル丸山に泊まる気はさらさらなく、落ち着いて行こう、とヘッドランプをつけての夜間懸垂を開始。2人とも初めての経験。

そして再び大ピンチ!下降1P目終了点でロープを回収しようとひっぱるが、ロープが流れない!ロープの流れを確認してから私が下りるはずだったが、どうもこうも動かないので業を煮やして下りてみた。ところがロープはどこにもひっかかっていないし干渉もしていないし、もちろん直線に流れている。なのに全く下りてこない。
わずか5センチほどの幅のスタンスに2人で立って必死でロープをひっぱる。これ以上にないくらいロープが伸びて(ぶちっ!て切れるんちゃうか、と思うほど伸びた)やっと3センチほどが下りてくる、という状態。怪奇現象じゃないが、なんか得体の知れないもんが上でロープを押さえつけてるんちゃうか?と思うほどロープが流れない。
うわぁ、こんなところで立ったままビバーク?どっしゃ〜!と思いつつロープを引っ張る。後で聞くとこの時、ハズの頭には「絶対絶命」という文字が浮かんでいたらしい。確かにこの時ほどこの言葉がぴったりなシチュエーションはこれまでの人生でなかった。

どのくらい時間が過ぎたか、なんとかロープを回収し懸垂を続ける。ここからは安心の懸垂ステーションだが、なんせ暗いので次のステーションが分かりにくい。ようよう登り2P目の終了点まで順調に下りて来た。あぁ、地面はもうすぐ!と思っていたら、三度ピンチ(やれやれ)。あと1ピッチの懸垂やのに50mではロープが足らず(あと5m!でも落ちたらやばい5m!)登り返す。また時間を食ってしまった。
というようなことが続きながらも真っ暗闇の中、地面に下り立ったのが(↑)夜の9時半。良い子は寝てる時間だ。テン場に戻ったのが11時。疲れていたけど内蔵助谷で足や顔を洗ってさっぱりリフレッシュ。川の水が冷たいのなんのって。さすが黒部!食欲はないけれど、なんとなくお酒は飲みたいと行動食の残りをつまみにささやかな祝杯を上げて就寝。
自分の寝言で目を覚ますこともあったが(確か、下りていいの?!とか言うてたと思う)安心安全の地上で朝まで寝た。

翌日帰阪。快晴。立山の上部は紅葉が始まっていてきれいだった。ヒヤリハット満載の登攀でしたが2人ともよくがんばったと思う。
しかし、一生分のアブミの掛け替えをしたなぁ。もぉあれだけのアブミルートは行かんだろうなぁ。




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