2019年2月20日水曜日

八ヶ岳 阿弥陀岳北西稜 その2


2019年2月10〜12日 阿弥陀岳北西稜2日目

さて、北西稜登攀日。予報は、昼から雨か雪。東京は大雪になるとかならないとか...。八ヶ岳は南岸低気圧に影響されるので、気にはなったがなんとか昼過ぎには頂上に着けるだろうと気楽な気持ちで出発。

テントを出て用意をしていると、登山道に3人、登攀準備をしているのが見えた。こっちに来るのかなぁ?と思っていると、私らのトレースを辿ってこちらに向かってきて、取り付き地点を探している。こういう場合、口を出さない方がいい。聞かれたら答える。余計なお世話を焼いて「せっかく自分たちで探しているのに〜」という残念な気持ちにさせては失礼だからだ。私たちとて同じ。とはいえ、時と場合でお節介を焼くこともある。特に、六甲などの低山で。
ま、それはさておきいよいよ「取り付きどこですかね?」聞かれたので、前日偵察して見つけたトレースのことを話しする。ちょっと外れているとは思うけど、それを私たちはたどります、と説明。そちらに向かっていった。
この人たちの足が速くて...。途中で、アイゼンをつけるために止まってなかったらあっという間に北西稜を抜けていたはず。

ちょっと立ち木が多くて面倒だったが、
トレースを辿ってサクサク小ピークまで登る
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さて、トレースばっちし、雪もしっかりしまって歩きやすく、あっという間に小ピークへ到着。


装備を付けて私たちがトップを行くことになったのだけど、小ピークから岩壁(実質の1P目取付き、写真真ん中の黒いところ)までの間のコンテ歩行がどんくさくて、渋滞を発生させてしまった。ごめんなさい。
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さて、気になる天気ですが。


小ピーク手前(7時20分頃)はこんな感じで、うっすら明るく稜線も見えていましたが...


1時間半も経つと、怪しい雲というかガスが広がり始めて稜線が見えなくなってしまいました。この辺りから風が強くなりはじめ、小雪も時々舞い始めました。

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1P目私→2P目ハズ→3P目私→4P目(核心)ハズ、という順番で登りました。微妙に積雪があり、結構いやらしかったです。1P目、トポと違うライン取りをしました。だって目の前にペツルが見えたのだ。これはランニングをとるしかないでしょう。とそのラインを狙ったらとってもいやらしくて一旦下りて、ハズに「代わってほしい」と言いかけたのですが、やはりここは登らなくては女がすたる、と思い再トライ。無事登りきりました。ハズはもちろん、後から登ってきた3人パーティの方にも「よく登ったなぁ」と称賛いただきました😊


3P目のトラバースをフォローするハズ(↑)。ここまでは思ったほど難しくなかったけれど、なんせ積雪があって、探りながらのトップなんで時間が少々かかってしまいました。かなり天気悪し。でもここまできたら引き返すより登りきるのが賢明。

この後、ハズが4P目の核心を登り終了。が、左側からの風がきつくて寒い寒い。4P目終了点から摩利支天までの登りは、想像以上に簡単で(ほっと安心)少し休憩をし(超寒かったけど)、ロープを仕舞って進み摩利支天へ到着。ここでちょっとまたどんくさいことをしてしまい、時間が経つうち、体が冷えて来た。しかも見通しが効かないのでどちらに進めばいいか分からない。そんなこんなしてるとますます体が冷えて来てだんだん「ちゃんと帰れるかなぁ?」「こうやって体が冷えて来て低体温症とかになって動かれへんようになっていくんやろうなぁ」「いやいや、ちゃんと帰らんな」などとなんか思考がネガティブになってくる。するとハズが「ダウンを着るか?」と言う。そうだ、ダウンを持って来ていたんだ。風がビュービュー吹く中、ダウンを出し着るとこれがとっても暖かい。急に思考回路がポジティブに戻り、さぁ、帰るぞ、という気になった。
えらいもんですなぁ。暖めるというのは本当に大切だと実感。

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摩利支天から阿弥陀岳山頂へ向かう。おそらくこれで合っているだろうという推測で進む。
すると反対側から男性が一人歩いて来た。この暴風の中!天気が悪いのに!(ってどっちもどっちか)でもそれより嬉しかったのは、彼が歩いて来たトレースがある、ということ(笑)。美濃戸口へ向かう方向を聞かれ、教えて別れる。

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阿弥陀岳の山頂で素早く写真を撮り下りにかかる。ここの下りはと〜〜っても怖かった記憶があるのだが、ん?あれ?そんなに怖くないぞ=急傾斜ではない。あれあれ?けっこう普通に下りれるよ。おぉ、これはいいぞ、とどんどん下りる。あっという間に中岳のコルに到着。しかも、頂上から赤岳側に入ると風がぴたっと止んで先ほどまでの寒気がなくなった。雪の状態を見て中岳沢を下れると判断し行者小屋まで下りる。初めて使ったルートやったけど早かった!楽チンでした。

ということで、無事テントに戻る。このまま下山しようか考えたが、帰宅したら夜中になること。そこまで無理して帰宅せんでもいいか、ということでもう一泊することに。初めて予備食を消費することになった。チキンラーメンやったけど。翌朝も。

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さて翌朝。下山にかかるとものすごくいい天気。


この抜けるような青空。前日と打って変わって快晴、気持ちのいい天気だった。はぁ、こんな日に登ることができたらほんまに最高やったのになぁ。3連休の人たちは、中日が天気良くラッキーだったなぁ。私たちは、入山日と下山日がこの天気で本チャン日が悪天候という巡り合わせだった。
が、ハズ曰く「まぁ、あんな天候でも登れる技量があるってことが分かってよかった」とのこと。確かに。シニア直前夫婦、まだまだ行けそうです。

美濃戸口に着いたら、満車だった駐車場がこんな状態に...。雪もすっかり溶けてすっかり春の陽気、といったかんじでした。


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タイム
6時40分 取付き→7時25分 小ピーク→8時55分〜12時45分 1P〜4P登攀→13時50分 阿弥陀岳山頂→ 14時20分 中岳のコル→14時45分 行者小屋

装備 
50mのダブルロープ
#0.5と#0.75のキャメロット→#0.75を4Pで使った
アブミ1脚→一対(2脚)持っていってもいいかも。今回、間違えて布アブミを持っていってしまった。大失態!プレートアブミを忘れずに