2020年10月16日金曜日

昔日山行話 2006年7月17日

さて、私の山行の昔話です。
今回は、2006年7月の海の日の連休に行った、自身初めての泊まりのある沢登りです。
行った沢は、福井県の「中ノ水谷」というところみたいです。「みたいです」というのは、事前に会長から資料をもらっていたにも関わらず、ざっくりとしか予習をしていなかったのと、これってあの沢の資料かなぁ?というコピーしたトポ図が手元にあるだけなので...。

国土地理院の地図で調べると大野市にある沢のようです。

メンバーはたしか6人から8人くらいだったかと思います。会長が知り合いに「初〜中級の沢でいいところがないか?」と聞いて教えてもらった沢だと言ってました。
前日の仮眠は、どこか分からない真っ暗な林道の脇に車を止め、その車の周りでシュラフを広げて寝ました。こういう行為を「オカン」というのだと教えてもらいました。
なんだか落ち着かない感じで仮眠して翌朝入渓。

天気はあまりよくなく、雨が今にも落ちてきそうな感じでした。
1時間〜2時間ほどで大きな二股に到着しました。休憩を挟んで進みます。この直後だったか、アクシデントが起きました。正確に言うと私が起こしてしまったのです。

高巻きをしている時でした。滝がどのくらいのサイズのものだったかなど全く記憶にありません。ただただついて行くだけでした。
会長のすぐ後ろ、2番手を登っていました。足元が崩れそうだったので集中していた時でした。下から順番待ちのメンバーから「こら〜!石を落とすなぁ〜!」と声がかかりました。気づいていなかったのですが、私が掴んでいる木の根がびろ〜んと壁から剥がれて石がどんどん落ちていたのです!
私が落としていると気づいたと同時に「あ!」と思った時、シュウマイくらいの大きさの石が落ちていきました。慌てて「ラク〜!」と叫びましたが間に合わず、メンバーの1人の右の上腕に命中してしまいました。

上から見ていても血が流れているのが見えました。会長と私はもちろん、高巻きに取りかかっていたメンバーも下まで戻り、結局ここで山行を中止にして帰ろうということになってしまいました。

この後、さらに悪いことが起きました。
同じ会のメンバーですが、出血しているメンバーと一緒に行動しているメンバーとそうでないメンバー、とグループが2つに分かれてしまったのです。怪我を負わせてしまったメンバーのグループは先に、先にとものすごい速さで歩きます。バラバラになってしまうことは絶対にダメです。なので私なりにがんばって沢を歩くのですがなかなか追いつきません。そんな時、今度は会長が、岩と岩の間に足を入れてしまいひねってしまいました。水中だったので、隙間があることに気がつかずに足を置いたら滑ってしまったのでしょうか?

そしてこの後の記憶はほぼなし。沢の中で泊まったのか...この日のうちに車にたどり着けたのか...。

私が石を当ててしまったメンバーは、幸い破傷風など細菌感染もなく治癒しましたが、この後は二度と沢に一緒に行くことはありませんでした。
会長はひねり方がひどく、たしかひと月ほど安静にしていたと記憶しています。

沢登りは究極の登山だといわれます。地形図を読んで、楽しみつつ安全を確保したルートどりをしなくてはいけない。谷に入ると携帯はつながらないので何かあった場合、救助を呼べない、全て自分たちで対処しなくてはいけない。私ごときがあのレベルの沢に行ってよかったのか...時々ふと思います。そして一番注意しなくてはいけないことは、高巻きです。落ちない、滑らない、落とさない、そして不安のあるメンバーがいる場合はロープを出す。

こんなことがあったので、沢登りは本当に簡単なルートにしか行かないようにしています。

入渓したすぐ。当時は防水カメラを持っていなかったので、このくらいしか写真がない。