2021年8月13日金曜日

中央アルプス縦走その1 桧尾岳〜熊沢岳〜東川岳〜空木岳

ゴロゴロゴロ...。ひゃぁ!
雷が頭上で鳴る。さっきから少しづつ音が大きくなってきている。「さっきの岩の窪みまで戻ろうよ」と言うがハズは前進。するとさらに音が大きくなり、真上で鳴り響く。こりゃまずい、と2人、とっさに地面に伏せる。が、ここは標高2800m近くの稜線。登山道の両側にあるハイマツの下に潜り込むが、なんとも心許ない。

午前10時頃。この日最初の雷鳴が遠くで聞こえた。気にかけながら夏空晴天の下、稜線を歩いてきた。
5時間半後。この半時間前には、私たちより下で鳴っていた雷があっという間に上昇してきて真上で鳴っている。

直撃をまぬがれても登山道を雷が伝ってしまえばどうなることやら。体半分はハイマツ帯からはみ出した状態。困った、困った、どうしようか。周りを見渡すと、20mほど先にこんな場所があった(↓)。

なんとか2人入れそう。タイミングなどないけれど、雷鳴が止んだタイミングで2人で駆け出す。岩の下に入って10分ほどすると、雷はどっかへ行ってしまった。ほ、助かった...。

この時間からさかのぼること8時間前。平日なのに乗車率が高く、予定より半時間遅れて千畳敷ホテルを出発した私たち。
青空にぽこぽこした雲が浮かび、これぞ夏空、夏山。千畳敷の気温は19度。あぁ涼しい〜。

極楽平へ登ると、八ヶ岳、南アルプス、そして富士山がきれいに見えた

目的地は雲の中 縦走開始

しかし長いな〜


千畳敷を出て2時間 まだまだ先は長い

この1時間後に桧尾岳(2728m)のピークをまず踏む。
しかし、暑い。天気がいいのは嬉しいが、風ほとんどなく、10時前にはすでに暑くてたまらん状態。

桧尾岳の頂上を少しくだると、可愛らしい家族が...(↓)

親子でなにかをついばみながら移動する。時々親鳥が雛鳥にあまり離れないでよ、母ちゃんはここよ、というように鳴く。するとちょっと離れた場所にいた雛鳥が慌てて母親の方へ、ハイマツの上をよっこいしょ、よっこいしょ、というように移動する。あぁ、なごむなぁ〜。

熊沢岳(2778m)を通過。この付近でも雷鳥の親子を見る。こちらの親子は、雛が先ほどの家族よりお兄さんお姉さんだった。ここらから少しづつ雲が出始めた。時間は12時過ぎ。場所的に、この辺りでこの時間にすれ違う登山者はほとんどおらず...と思ったら1人、反対方向からやってきた人がいた。

東川岳手前の稜線 空木に少し近づいたか?

アスレチックな場所は楽しい♪

東川岳(2671m)を過ぎ、が〜っと下って木曽殿山荘。2人とも疲れているが、私の方が疲労度ははるかに大きい。ここでポカリ1本づつ補充。CCレモンは休憩で飲む。あぁ、美味しい...。この瞬間、どんな高級焼肉よりも、高級刺身よりも、高級酒よりも、1本のCCレモンが五臓六腑に染み渡る...。

空は完全に曇り空。怪しい。雨が降りそう。しかも疲れている。今夜は空木平の避難小屋までの計画だが、山荘で飛び込みで宿泊できるかお願いしてみようか?と相談。本来はこれもありですが、昨今の事情で、去年からほとんどの小屋では飛び込み宿泊はお断り、の状態。なんか嫌なこと言われても気ぃ悪いしなぁ。ハズは「歩けるよ」と言う。私も気ぃ悪なるのはごめんなので、がんばれないけど、がんばって歩くことに。空木岳頂上までの登りがこの日の一番ハードな箇所。

で、第一ピークと書かれた岩を過ぎたあたりから冒頭の雷直下でくわばら状態。
なんとかやり過ごして山頂へ。

おっき岩!いつも思うけど、どないしてここに鎮座してるのか?

空木岳頂上(2864m)が見えた!午後4時到着

もぉ誰にも会わない、と思っていたら反対側から登ってきた3人のグループとすれ違った。多分、木曽殿山荘泊りなんだろう。4時までに山荘に着かないと夕食は出ない、というのが約束の小屋。「あぁ、スキー場から登ってきたら長い、長い!」とかなり慌てた様子で歩いて行った。

頂上からすぐそこに駒峰ヒュッテが見えた。売店で飲み物を買おうと思っていたが誰もいない様子。残念。
で、私たちが行かねばならないのは、と〜〜〜くに見えている避難小屋。本来は計画登山で使ってはいけない、となっているようですがすいません、利用させていただきました。もちろん利用料金はちゃんと置いてきました。

コースタイム、片道30分とエリアマップに書いてあるが無理やろ。うそやろ。小一時間はかかるやろ?
で、歩き出したわけですが、40分ほど歩いても到着しない。しかも地形がなんかおかしい。沢がだんだん細くなり小屋が立つような平地があるように思えない地形になっていく。上から見ていたのと何か違う。10分ほどうろうろして、とにかくもう少し下ってみよう、と下ると...

ありました。到着。よく見ると、小屋の玄関から左方向に登山道が伸びている。変なところを歩いてきてしまいました。

水場は小屋から少し下ったところにある、テント場のような台地の右側に流れが少しある沢から取ります。2つの小さい沢が出合う地点にですが、奥(南側)の小沢から取った方がいいでしょう。お腹が弱い人は煮沸必須。煮沸といってもボコボコに泡が立つ沸騰状態を1分以上続けて初めて煮沸完了、ですからね。沸いたから大丈夫、というものではないのでご注意を。

この日、もう1人単独の方がいらっしゃった。私たちより半時間ほど前に到着したとおっしゃっていた。雷がばんばん落ちて怖かった〜とおっしゃってた。私たちが稜線でハイマツに潜り込んでいた時間だ。

2人とも暑さにやられて食欲なし。アルファ米の田舎ご飯を作ったが味がしない。私は味噌汁だけ食べて食事終了。

雷雨があったせいか、夜中は冷え込んで3度ほど寒さで目を覚ました。おかげで、翌朝起きると体の熱が取れ頭痛もなくなっていた。少し元気になった。さ、2日目の行動開始だ〜。

山行日 2021年8月5日(木)〜8日(土) この記録は8月5日。

その2へ続く...