2013年10月28日月曜日

甲斐駒ヶ岳 その3

も1つある体験談その2

赤蜘蛛ルートを登っていた私達の前を行くシニアパーティ。60代の女性と60前の男性の2人組。

1日目、八合目の岩小屋の前を通って水場を確認しに行く時、岩小屋の前で座り込んでいた。こちらが挨拶をするより前に「ここ、岩小屋ですよ。」と言われた。なんだなんだ?こちらは何も聞きもしないのに、ここからはアプローチ道だ、偵察に行った来ただの、攻撃的に話をしてくる。ちょっと変わっていると思い3人とも適当に挨拶を返す。

七丈小屋に水を汲みに行くとテン場にいたこの2人。こちらが3人=登るの遅いと決めつけて翌日何時に出るか相談していた。テン場を通り抜ける時、あからさまに「あの3人はあそこに止まっているのだから、私達は...」と大きな声で話をしていた。

当日。ご飯を食べていると2人がテントの横を通って行く声がした。半時間以上して私達が出発しアプローチを10分ほど下ったところで2人がまだうろうろしていた。遅いのどっちやねん。
そして6時過ぎに取付に到着。見てびっくり。1つ目の支点にアブミをかけた状態で朝ご飯を食べている。食べるのはいいとしても、それから登り始めるまでゆうに半時間を浪費。先に行かせてくれ。でも行かせてくれなかった。
そしてトップが女性。最初、1つ目と2つ目の支点が遠いので少々苦労していたが登り続ける。そしておそらく1ピッチ目の1/3くらい登ったところで、「落ちる落ちる」と声がした。私のところかは見えなかったのと、落ちる、の声がしたので男性の体勢を見ると目の前の壁を見てぼけ〜っとしてるので、落ちる言うてるだけかな?と思ったら、ぶん!とほんまに女性が落ちてきた。男性も止めたというよりも、女性が落ちてきてロープにひっぱられたので手が動いてそれで女性が止まった、という感じ。あと10センチほどでグランドフォールだった。かんべんしてよ〜。こんなところで事故されたらうちらもほっとかれへんやん。ここまで来たのに登られへんって嫌やで〜。
で、なんで女性が落ちたかというと残置のリングボルトが抜けたわけでもなく、全てが見えていたハズによると、女性は1つ目と2つ目の支点にはランニングを取っていたようだが、なぜか3つ目は飛ばし4つ目にフィフィをかけてさらに登ろうとしたらフィフィが外れて落ちてきた、ということだった。4つ目にもランニングはかけていなかったということだ。

やっと1Pを女性が登り終わり、男性がフォローで登るも遅い。私達3人が登る方が早い。男性がしきりに下を見て私達の登りその速さを気にしている。2Pで男性リードで、またうわ〜〜〜!っと声がしてビレイ中の女性がずずっと引っ張られた。落ちたようだ。そしてなぜか男性が「大丈夫か?」と聞いている。あんたが大丈夫やったんか?やで。

その後、私達は順調に登り追いつく。3P目のV字ハングを越えるところではリードの女性がアブミを1脚落とすというハプニングも。

一言言いたい。遅いのはいいよ。先に取り付いたパーティに先行権があるのも分かる。しかし、だ。「(自分達が)遅かったら先に行ってください。」と「岩登りで」言うのは止めて欲しい。ルートは1本。終了点は1つ。1パーティしかその終了点を使えない。縦走で道を歩いてるところを先に行ってください、という状況ではないのだ。「先に行ってください。」というのであれば安全に待てる、抜かせる中間テラスで待っているべきではないか?10分も待てば私達が到着し先に行けるのだから、先に行ってくださいというのであれば待ってくださいよ。先に行かす気がないなら気軽のそういうことを言うな。

私が考えたのは、結局先に行かせなかったのは、私達を先に行かせればあっという間にいなくなる。その後、何か怪我でもするようなことがあったら2人でどうしたらいいか分からないから怖かったので結局先に行かせることはしなかったのだろう。何かあれば、後続の私達3人がどうにかしてくれるだろう、と思っていたのだと思う。

アルパインするならなぁ〜...偉そうなこと言えた器ではないけれど、もちっと、なんとかしてなぁ〜と思ったのでした。


甲斐駒ヶ岳Aフランケ赤蜘蛛ルート登攀 その2

今回の山行中にも色々とありました。

その1
初日、七丈小屋まで水を取りに行きビールも買って八合目テント場に戻る。3人でテント前で翌日の装備の準備をしていると、通りがかった男性2人に声をかけられた。「あのぉ、頂上下の分岐ってどこですか?」...「?」
ここは「黒戸尾根」の八合目付近で分岐はありませんけど?というと反応がおかしい。
ここを下ると山梨側に行きますよと話をするとどうも、きょとんとしている。あれやこれやと説明、解説、提案するけれどどれもこれもぴん!ときていない様子。なので、質問を変えたら、北沢峠から登ってきて、頂上でぐるっと一周して方向不明になったか頂上から黒戸尾根側に少し下がった魔利支天方向との分岐を見落としてこちらにくだってきたか...。自家用車を仙流荘の駐車場に停めているとのことで、北沢峠側にどうしてもおりなくてはいけないとのこと。この時15時。最終バスは北沢峠発16時。あと1時間ではどこをどうやっても北沢峠までは戻れない。下の小屋も「今日は予約で空室なし」と書いてあった。小屋のことを話して、満室でも迷ってしまったといえばどこかしらに寝かせてもらえるかもしれないから、とにかく、頂上まで戻って北沢峠へ下りてください、と言った。
地図を出す様子もなかったので、おそらく地図も持たずに、なんかの雑誌とかで見たのを覚えて来たのか?いずれにせよ真反対に下りてきたのは仕方ないとしても、北沢峠側の道と黒戸尾根ルートはかなり違う。黒戸尾根を下りてすぐぐらいに気がつかなかったのかなぁ?
どうなったかちょっと気になるけど、その後ニュースにもなってなかったようなので無事に下山されたと思っております。

やはり行く前には地図を見てルートの確認、行動中も時々地図を見て居場所の確認、そして万が一の時に備えてヘッドランプはもちろんツェルト、多めの食料を持っておいた方がいいでしょうね。


2013年10月19日土曜日

甲斐駒ヶ岳Aフランケ赤蜘蛛ルート登攀

2013年9月22日(日)〜24日(火) ハズ、ち〜ちゃん、りょ

その1
2年前にハズと2人で行ったけれど取付で岩を落としてからそのままになっていたルート。夏前に、移籍した山岳会のメンバー、ち〜ちゃんからお誘いを受け(ち〜ちゃんも数年前に黒戸尾根を10分登って大雨に降られ敗退していた)3人で行くことに。

その1では登りの話を。
まず、今回は八合目付近の台地にテントを張った。水場に水無し。七丈小屋まで往復して水を取りに行った。アプローチの下見は、2年前の記憶がまだあるので(岩とか山に関する記憶はしっかりしてるけど日常が最近やばい...)しなかった。天気はすこぶるよい。3連休の真ん中の日だったが、登山者があいもかわらず多い。
2日目、4時に起きて5時過ぎにテン場出発。持って行ったギアは、キャメロット#0.4から#1.0(2セット)#0.3#2.0(1セット)、リンクカム#0.5 #1.0(1セット)、アブミ、フィフィ、その他必要な登攀用具。

最近、マルチルートを登っていないのでなんだか怖い。高いところも怖い。残置ボルトが抜けそうで怖い。怖い要素ばかりを考えて怖がる私。うぅん、こんなんで登れるのか?登る他にもあれもこれもそれもどれもと色んなことが心配になる。数年前までなかったこと。これが年を取るってことか?勢いがなくなっていく...。

取付に6時過ぎに到着。3人で登る順番を決める。怖がっている私は、2番目。トポ図を見ると、おぉ!一番優しいルートばっかりやん!ありがとございま〜す。がんばりま〜す、と笑顔になる。

1P目の1つ目と2つ目の支点は遠いのでち〜ちゃん持参のちょんぼ棒でこなす。ここで時間をかけるわけにはいかないので、なんでもあり。フォローの私、少し苦労したが、2年前よりは難なくこなす。

2P目、リード。ここは2年前もリードしたので楽しみながら登って行く。上に人がいるので、20m程で切った。

3P目をリードするハズ。クラックを使ってすいすいと登って行く。その上に小さく見えるのは先行のシニア混合パーティの男性。しきりに下ばかり見てこちらの速さを警戒している。

ち〜ちゃんにクラックの登り方のヒントをもらいフォローする。少々痛いのとずれ落ちそうで怖いが、楽しい。もう少しちゃんとテーピングをしておけばよかった、と後悔する。

3Pは、中間テラスまでの4ピッチの中で核心となるV字ハング。2年前は苦労したのに、すいすいと登れた。アブミも練習してなかったのですが。V字ハングを越したら、砂や小石が多くなるので、滑りそうでやや注意が必要。

中間テラスに着き、食料エネルギー補給。シニアパーティ、まだ次のピッチが終わったところにいる。

これが、赤蜘蛛ルートの核心部分というかハイライト。スーパークラックルートと重なる部分。うちらはもちろん、アブミです。
しかしすごい壁ですね〜。この垂直の切れ落ちた壁。他にこんな壁、日本国内であるのでしょうか?上の方に小さい人がいますが、これが先行のシニアパーティ。なかなか動かない。動いてくれないことには、終了点を使うことができないので登り始めることができません。

やっと空いたので、ハズがこのピッチリードです。





ガスがかかってきました。慎重に残置リングを使いつつ、クラックにキャメロットをセットしながら、キャメアブミで登って行きます。後で聞いたら、やはりこのピッチ結構緊張したそうです。

そして私はフォローですが、怖くて下見れず。アブミの段を確認するのも下の方を見てしまうと恐ろしいので、アブミの段だけを見るようにして登る。やはり高いところは恐ろしい。でも、でも、でも登るのは楽しい!

終了点はちゃんとありますが、念のために余分なキャメロットでバックアップを取ります。
3人で登ると、一人が完全にメインロープから離れる時があるので、デイジー+スリングでバックアップを取って念には念を入れます。

恐竜カンテをリードするち〜ちゃん。この後、向こう側に回りこむという高度感満点のポイントです。

少々遠かったということで、う〜ん、と珍しく、この日、一度だけのうなり声を言うてはりましたが、もちろん難なくこなす。フォローもスムーズにこなしました。

この後は、私のピッチでしたが、楽しめました。そして赤蜘蛛大テラスに到着し、メインの登りは終了。ここから山に向かって右側を2Pほど登り、赤蜘蛛の頭の岩小屋に到着して終了なんですが...




とうとう夜になってしまいました。早めのヘッドランプは必要です。
この後、あと1ピッチ登って岩小屋に到着。3人が離れないよう気をつけながらテントに戻ったのが19時半でした。
待ち時間が長くて日が暮れましたが、3人でもなかなかどうして、素早くスムーズに登れました。満足、満足の岩登りでした。



あぁ楽しかった。

2013年10月12日土曜日

広島県 三倉岳 2013年9月15日〜16日

9月22日の週末に甲斐駒ヶ岳Aフランケ赤蜘蛛ルートに登りに行く計画を夏前に立てたものの、お盆休み以降の週末はことごとく大雨に降られ、3人で登る練習が全くできない。少々焦り始めたこの週末も台風が上陸する恐れがあるということで、岐阜県の錫杖岳を取りやめなんとか台風がそれるであろう広島県の三倉岳に向かうことにした。

クラッククライミングはほっとんどやったことないが、上級クライマーのち〜ちゃんが、中岳の中央稜なら登れる、というので3人でリードをまわす、登りよりもシステムを確認する目的が第一だったので、ではそのルートを登ろうということで向かった。

天気はすこぶるよく、ただ、台風の影響か風が強かった。そして登りは...。練習どころか、本チャン以上に厳しい登り!クラックできへ〜ん。体がはさまらへん!はさまったはいいけど、次のムーブが分からへん〜!ずりずり体を上げようとするが、ちょっと岩との間に隙間ができるとずりっと落ちそうになるので微妙に怖い。7時間もかかってなんとか終了点に到着。

ワインを持って行ってたが、やはりビールを飲みたいということで簡単な地図と以前来た時に行った酒屋さんへ、記憶をたどって向かった。あった、あった、ここ、ここ。田舎の、昔から続く酒屋さんという店構え。ビールをそれぞれ買うと、お店の奥さんがどこから?とお話を始めたので大阪から来ました、と少し立ち話。昔はたくさん大阪から岩登りに来られてたんですけどね〜、とおっしゃていた。私の師匠もその1人だろう。
それでは、と失礼しようかと思ったら、奥さんが、今朝採ったばかりの水茄子があるのだけど、いかがです?とおっしゃった。茄子ですか!今朝採ったばかり!3人共声を揃えて「いただきますっ!」するとなが〜いなが〜い、見たことのない長いお茄子を3本くださった。3人共、また声を揃えて「おぉ!なが〜!すごい長い〜!」と興奮。焼き茄子でも、とおっしゃってくださったが、残念ながら1泊なので簡単な料理道具&調味料しか持って来てない。なので、この夜のメニュー、スープパスタに1本だけ使わせていただき、あとの2本はそれぞれ家に持って帰ることにした。
採れたてのお茄子はぷりぷりで水みずしくておいしかったです。パスタが一気に豪華になりました。

翌日は、フリールートを登って帰る予定だったが私が体中筋肉痛でとてもじゃないけど登れないってんで、登らず、ち〜ちゃん提案の、温泉に入ってお好み焼きを食べて帰った。お好み焼きは、温泉の受付の方に教えていただいた粉もんミシュランで一つ星を取ったという「電光石火」というお店に行った。隣の席に座った地元の人が言ってた、ちょっと広島焼きとは正確には違うんやなぁ、という言葉に納得したが、あつあつをはふはふ言いながらいただき、お腹いっぱいになって帰った。

さて、赤蜘蛛Aフランケはどうなることやら...。

中岳中央稜を登る
このピッチが一番楽しかった
やっぱりバランス感覚がいいち〜ちゃん
















いただいたお茄子 長いでしょ〜!!